2022年3月号掲載
メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」
- 著者
- 出版社
- 発行日2022年1月30日
- 定価902円
- ページ数246ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
「メタバース」とは、ゲームやアニメなどの世界観に基づく、リアルとは違う“もう1つの世界”のこと。インターネットにおいて、SNSの次のキラーサービスといわれる。うまく使えば自分の生活を良くし、ビジネスにも活かせる。そんなメタバースの全容を、情報技術、そしてサブカルチャーをよく知る著者がわかりやすく説く。
要約
メタバースとは何か?
「メタバース」。この言葉は、まだ辞書には載っていないが、辞書的な定義を書けば「サイバー空間における仮想世界」になるだろう。
では、その世界はどのようなものなのか?
アイドルはなぜグループ化したか?
かつて、アイドルは個人として売り出された。それが、グループで売るものになった。なぜか?
以前、人々の価値観は一様だった。理想の異性像もよく似ていた。だから、1人のアイドルが理想の異性像を引き受けることもできた。
しかし、今日、人々の価値観は多様になり、異性への要求も多様になった。すると、1人の人間がこれらを引き受けるのは無理になる。だから、グループ化して、「これだけたくさん人がいれば、誰かは好きでしょ?」という売り方にする。これが一般的な解読である。
この解読も間違ってはいないが、「アイドルがなぜグループ化したか?」の回答には、「情報技術が進歩したから」を追加すべきだ。
情報技術の進歩が、楽曲をコピーするコストをほぼゼロにした。しかも音質が良い。このため、CDが売れず、アイドルは儲からなくなった。
そこでCDに代わって登場したのが、握手だ。握手はコピーできない。握手をするたびにお金が落ちてくるなら、手の数は多い方がいい。だから、アイドルはグループ化しなければならなかった。
進歩する仮想現実
この「握手会商法」を脅かす技術が、仮想現実(Virtual Reality:VR)である。
VRは、体験をデジタルコピーする技術だ。まだ発展の過渡期にある技術であるため、「VRで握手したから、もう本物のアイドルのイベントには行かなくていい」とはなっていない。しかし、5年後、10年後にVRでの体験の価値が、現実でのそれを上回る可能性は十分にある。
現在、VR体験は視覚と聴覚に偏っているが、視覚情報の大幅な進歩に加えて、触覚や嗅覚、味覚まで加えた体験が研究されている。これらが、技術を尖らせていくことで、現実と変わりがないような疑似現実へと発展していく可能性がある。