2016年2月号掲載
「超」情報革命が日本経済再生の切り札になる
著者紹介
概要
人工知能、ビッグデータ、IoT…。最新のIT技術を活用した、新しいサービスや市場が生まれている。だが日本は、その重大さを認識していない。このままでは、IT技術で成長を続ける米国と日本との差は広がるばかり。こう警告し、日本経済が生き残るには、規制緩和によって最新技術の成果を取り入れることが不可欠、と説く。
要約
新たな技術がもたらす変化
今、技術体系の根幹が大きく変わろうとしている。人工知能(AI)やビッグデータは根源的な変化だ。また、スマートフォンを利用した新しいサービスも多数登場している。
今生じつつある変化は極めて重大なものだが、日本ではその認識が薄い。この状況を変える必要がある。そのための第一歩は、大きな変化が生じていることを認識し、その意味を知ることだ。
ビッグデータの活用
我々は今、毎日、検索をし、ウェブページを閲覧し、ウェブ店舗で購入している。それらの記録はすべて蓄積され、ビッグデータになっている。
グーグルは、検索、Gメールなどを通じて蓄積した膨大な個人データを基に、検索結果を表示したり、広告を行ったりしている。フェイスブックは、会員データを基盤として、広告などで収益を上げている。これらはビッグデータの活用だ。
エパゴギクスによる映画興行成績の予測
人工知能の進歩も著しい。
エパゴギクスという会社は、映画の興行成績を事前に予測するアルゴリズム(プログラムの形で定式化された処理手順の集まり)を開発した。脚本をそのアルゴリズムにかけると、興行成績が3000万ドル、2億ドルなどと言い当てるのだ。
2004年、ある大手映画会社が未公開の映画の脚本9本をこれで予測し、上映後、実際の結果と比べると、9本中6本の予測はほぼ的中していた。
今やエパゴギクスは、映画会社が映画製作を決定する際に、不可欠の存在となっている。
UberとAirbnbの登場
スマートフォンを用いる新しいサービスが次々に登場し、消費者の日常行動や働き方のスタイルを大きく変えている。
その1つが、Uberだ。スマートフォンのアプリに行き先を入力すれば、タクシーを呼べる。2009年にサンフランシスコで始まったUberは、すでに54カ国でサービスを実施している。
宿泊施設の分野では、Airbnbが有名だ。これは、空き部屋などを持つ宿泊場所の提供者(ホスト)と、旅行者(ゲスト)をつなぐネット上のプラットフォーム。都市名を入力すると、ゲストを迎えたいホストの物件写真と顔写真が示される。