2016年9月号掲載

ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代

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著者紹介

概要

「オリジナルな人」と聞くと、スティーブ・ジョブズなど、リスクを恐れず、創造性を発揮するカリスマが思い浮かぶ。だが、天賦の才ではなく、「自らのビジョンを率先して実現させていく」のがオリジナルな人だとする。この視点の下、リスクを嫌う“普通の人”でも独創性を高められることを、各種の研究を引き立証していく。

要約

変化を生み出す「創造的破壊」

 2008年の秋。4人の学生がメガネ業界に革命を起こそうとしていた。近年、ザッポス社がオンラインで靴の販売を始めて靴業界に大きな変革をもたらしたことから、メガネでも同じことができないだろうか、と考えたのだ。

 このアイデアを友人らに話すと「ネットでメガネを買う人なんかいるわけがない」と誰もが言う。

 皆に反対されつつも、4人は会社を起ち上げた。通常の小売店で500ドル(約5万円)程度で売られているメガネを、オンラインで95ドル(約9500円)で販売し、1本売れるごとに発展途上国の誰かに1本を寄付するという計画だった。

 2010年2月、ウェブサイトが完成する。社名は「ワービー・パーカー」とした。

 オープンすると、商品は飛ぶように売れ、年商1億ドル(約100億円)を達成。企業価値は10億ドル(約1000億円)以上と評価された。

 ワービー・パーカーを創業した4人は、オンラインでメガネを売るという方法を考えつく「オリジナリティ」をもっていたが、どうして「オリジナルな人」になれたかといえば、消費者がメガネを手軽に買えるようにするための行動を起こしたからだ。オリジナルな人とは、「自らのビジョンを率先して実現させていく人」である。

 そして、誰もが「オリジナル」になれる。

「ブ・ジャ・デ」の体験

 オリジナリティの最たるポイントは、「既存のもの」を疑い、よりよい選択肢を探すことだ。10年以上にわたって研究を続けてきたところ、これは思ったよりも簡単だということがわかった。

 デ・ジャ・ブとは、はじめて見たはずなのに前にも見たことがあるような感覚だ。ブ・ジャ・デとはその反対で、既知のものを目の前にしながら、新たな視点でそれを見つめ、新たな洞察を得ることだ。ブ・ジャ・デの体験なしに、ワービー・パーカーの起業はなかっただろう。

 4人の創業者には長いメガネ使用歴があった。従来のメガネは高価だったが、4人は「メガネは高いもの」という現状を当たり前のこととして受け入れ、価格に疑問をもたなかった。「値段に疑問をもつなんて、それまで思いもよりませんでした」と、創業者の1人デイブ・ギルボアは言う。

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