2016年10月号掲載
マッキンゼー流 最高の社風のつくり方 高業績を生む「組織文化」のシンプル構築術
Original Title :PRIMED TO PERFORM
著者紹介
概要
書名通り、会社に繁栄をもたらす“最高の社風”の築き方を指南する。カギとなるのは、「総合的動機(ToMo)指数」。社員のやる気を示す数値で、「楽しさ、目的、可能性、感情的圧力、経済的圧力、惰性」の6つの動機から成る。これを用いて自社の強みや弱みを把握し、社風を改善すれば、社員は自ずと積極的に働くようになる!
要約
高業績を導く「社風」の科学
企業の成功には、優れた組織文化、つまり「社風」が欠かせない。
だが、どうすれば良い社風を築けるのかがわからないと悩む人は多い。ほとんどの人は、社風や組織文化が重要だと知りながら、それらを築くには「秘術」が必要で、うまくいくのはひと握りの天才的な人だけだと思い込んでいる。
私たちは、20年にわたって調査と研究を重ねてきた。その結果、優れた社風や組織文化を築く秘術は、シンプルな科学から成り立っていることを知った。この科学を活用すれば、会社の繁栄をもたらす社風を築き、維持することができる。
優れた社風を築くカギ、「ToMo」
高業績を導く社風を築くには、まず、何が1人1人の業績を高めるかを理解しないといけない。それは「なぜ」働くか、ということだ。
詳しくは後で説明するが、労働には6つの基本的な動機がある。それは、「楽しさ、目的、可能性、感情的圧力、経済的圧力、惰性」である。
そして、初めの3つは、業績を向上させる「直接的動機」に、後の3つは業績を下げる「間接的動機」に属する。
社風によって楽しさ・目的・可能性を最大にし、感情的圧力・経済的圧力・惰性を最小にすると、「総合的動機(Total Motivation=ToMo)」が最高レベルに達する。
このToMo指数は社風を築くための究極の道具であり、社風が正しい方向に向かっているかどうかを調べるのに欠かせない羅針盤だ。
ほとんどの組織は、社風を築き、保持し、強化するのに苦労している。それらの組織のリーダーは、社風についての系統的な知識を持たないため直感に頼るか、他社の社風をまねるしかない。
だが、アップルやサウスウエスト航空の社風をまねても、借りものの社風は一貫性を欠く。正しい方法で社員を動機づけしないと、結局つまずく。
そこで重要なのが、ToMoだ。成功している組織の多くは、ToMoを活用している。それらの組織のリーダーは、人々にやる気を出させるには、報酬や脅しをちらつかせるのではなく、彼らを啓発し、仕事の中に楽しさや目的、可能性を見いださせるのが一番だと理解している。