2016年10月号掲載
新版 小さな会社★儲けのルール ランチェスター経営7つの成功戦略
著者紹介
概要
日本の会社の94%は、従業員30人までの小さな会社だという。そんな中小・零細企業のための、いわば“バイブル”。数多くの中小企業を指導してきた著者たちが「ランチェスター法則」を基に、基本戦略、商品戦略、エリア戦略等々、弱者のための戦略を、多くの事例とともに説く。2002年に刊行されたロングセラーの新版。
要約
弱者の基本戦略
どんなに小さな会社でも、経営に成功するには、「戦略=全社的な勝ち方のルール」を研究し、競争に勝たねばならない。この戦略の能力を高め、経営戦略の基本といわれるのが「競争の法則」として有名な「ランチェスター法則」だ。
「ランチェスター法則」とは?
ランチェスター法則の考案者は、フレデリック・W・ランチェスターという英国人で、自動車会社の経営者だ。彼は1914年、第1次世界大戦の勃発に刺激を受け、次の2つの法則を発表した。
・第1法則:攻撃力=兵力数×武器性能
戦国時代のようにヤリで戦う場合、兵士はヤリを持って横に並び、一斉に敵に突っ込む。こういう戦いでは、敵味方とも同数の戦死者が出る。
例えば100人と60人が戦い、60人側が全滅するまで戦うと、100人側も60人の戦死者が出る。
このように、ヤリのような射程距離が短い兵器を使っての「接近戦や体あたり戦」では、初期兵力数の差に関係なく、戦死者・損害は1対1になる。これが、第1法則である。
・第2法則:攻撃力=兵力数²×武器性能
例えばA軍が5人、B軍が2人いて、川を挟んでライフルで撃ち合ったとしよう。
A軍の5人は相手から攻撃を受けるが、1人が攻撃される確率は5分の1だ。つまり、5分の1の確率を持った攻撃を2人から受けるから、A軍の計算上の損害は5分の2になる。
一方、B軍の2人は、1人が攻撃される確率は2分の1だ。これを5人から受けるから、B軍の計算上の損害は2分の5となる。
このように、ライフルなど射程距離が長い兵器を使って離れて戦うと、双方の力関係は2乗比になる。これが、第2法則だ。
「強者の戦略」と「弱者の戦略」
以上の法則から、次の結論が導き出される。
「兵力数が少ない劣勢軍」の場合、ランチェスターの第1法則を応用し、