2017年5月号掲載
1万人の人生を見たベテラン弁護士が教える「運の良くなる生き方」
著者紹介
概要
著者は、これまで1万人以上もの依頼者を見てきたベテラン弁護士だ。本書では、50年近くに及ぶ弁護士生活を通じて学んだ、「運の良い人」「運の悪い人」の法則を紹介する。「人間性の良い人ほど運が良い」「悪いことをして得た成功は長続きしない」「争うと運を落とす」…。幸福をつかむ上で大切なことが、わかりやすく語られる。
要約
運を良くするコツ
私は半世紀近く弁護士をして、大勢の人々を見てきた。民事、刑事の仕事を合わせ、延べ1万人超もの人生を見てきたからわかるのだが、世の中には、確かに運の良い人と悪い人がいる。
例えば、運の悪い人は同じようなトラブルに何度も見舞われ、その都度、私に相談に来る。かと思えば、全く逆の人もいる。トラブルではなく、商売に関する法律相談で何度も事務所に来る。そして、来るたびに会社は大きくなっている。こちらは運が良いとしかいえない。そのうち、私には運の良い人と悪い人の見分けがつくようになった。
運が良くなれば、幸福な人生に近づける。そこで、運の不思議なところ、運の良し悪しについての経験則を紹介したいと思う。
弁護士は悪い人の末路を知っている
「善いことをすると、運が良くなる」と昔からいわれていた。「情けは人の為ならず」という諺が、まさにそういう意味だ。
情けをかけるのは他人のためでなく、自分のため。なぜなら、他人に情けをかけると、回り回って自分のためになるからだ。つまり、人の役に立つことをすると運が良くなるという意味の諺だ。
私の経験則でも、これは正しい。しかし、疑問を持つ方もいるだろう。人の役に立つどころか、悪いことばかりする人間が、金持ちになったり出世したりしているように見えるからだ。
確かに、悪賢く立ち回って成功する人は多い。そんな人は派手に贅沢をするから目立つ。だから成功者はそんな人ばかりだと思うかもしれない。だが、普通の人はうまくいったという話ばかり聞かされ、その後、どうなったのかは知らない。
その点、弁護士は逆で、うまくいっていない人を数々見る。そして、悪賢い成功者のその後の話も知っている。結論を言えば、悪いことで得た成功は長続きせず、すぐ不幸になってしまう。
諺には「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉もある。悪いことをすると、必ず神さまが見ていて、罰を与えるぞという戒めの言葉だ。
悪いことをして得た成功は一瞬だけのこと。本当の幸運は、長い目で見ないとわからない。
人を束縛すると運が落ちる
いつの間にか、運が落ちている。もし、そう気づいたら、自分が何か運を落とすようなことをしていないか、確かめた方がいい。