2017年6月号掲載

圧倒的な強さを築く オンリーワン差別化戦略

Original Title :SIMPLY BRILLIANT

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著者紹介

概要

近年、イノベーティブな成功企業といえば、フェイスブックはじめシリコンバレー発の企業を想像しがち。だが、成功物語はどの地域・業界にも存在する。顧客に愛される銀行、スピードにこだわるハンバーガーショップ…。米国のコラムニストが、無名だが抜きん出た業績を上げる数々の企業を取材し、成功の共通項を示す。

要約

ナンバーワンより、オンリーワン

 近頃では、破壊的技術や斬新なビジネスモデルが成功の代名詞となり、シリコンバレーのイノベーターを駆り立てる。ニューエコノミーを牽引するのは、新世代の企業やリーダーたちだ。

 だが、成功物語はそうした一握りの者だけのものではない。可能性に気づくことができれば、どの業界でも新たな成功物語を生み出せる ―― 。

「メトロバンク」成功の秘訣

 「メトロバンク」は、2010年7月にロンドン中央部で最初の店舗を開業した。以後急成長を続け、イギリス全土で店舗を展開している。

 そして現在、2020年までに200店舗の開設、100万人の顧客との契約成立、従業員5000人の雇用、400億ドルの預金獲得を目指すという大胆な計画を推進中だ。世界中の投資家から14億ドル以上を集め、イギリスで最も活気ある金融サービスブランドを築いている。

 陰気なイギリスの銀行と比べると、メトロバンクの店舗は、明るく賑やかで遊び心にあふれている。ガラス張りの店舗に入ると、赤と黒を基調としたインテリアが目に入る。ロビーやATMのスクリーンにはスローガンが表示されている。「ついに愛される銀行が登場! 子どもたちは大はしゃぎ。愛犬も歓迎。ばかげた規則は一切なし」。

 メトロバンクは、金融業界の慣行を覆した。かつて銀行の営業時間は短く、休日も多かったが、同行は年間362日、平日は12時間、土曜日は10時間、日曜日は6時間営業する。

 そして、新規顧客の口座開設、デビットカードの発行といった手続きを15分以内で、しかも来店客に書類を書かせず実現している。

 何より驚くべきは、メトロバンクには本当の意味で新しいものは何もないという点だ。最先端技術や斬新なビジネスモデルに頼ったわけではない。

 メトロバンクは創業から6年足らずで、金融業界で類を見ないほど情熱的なブランドになった。

群れから抜け出し、我が道を進め

 優れた企業は、最先端技術を備えた企業でもなければ、斬新なビジネスプランを持つ企業でもない。魅力的なアイデアを掲げ、印象深い体験を生み出し、顧客を魅了し、忠実な仲間を雇用する。つまり、効率的であると同時に、決まりきった現状に対する魅力的な対抗馬として自らをポジショニングする企業である。

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