2017年8月号掲載

THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する

Original Title :CRAZY IS A COMPLIMENT

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著者紹介

概要

著者は、これまで1000人超の起業家を支援してきたベンチャーキャピタリスト。その経験から学んだ、起業についての教訓を紹介する。緻密な事業計画書よりも行動が大切、大きく夢見て小さく成果を積み上げる、“一匹狼”ではいけない等々、起業家として成功するために必要な考え方、なすべきことが、わかりやすく語られる。

要約

1000人の起業家から学んだこと

 1997年、私は「エンデバー」という組織を共同で立ち上げた。それから約20年にわたって、約1000人のアントレプレナー(起業家)を支援してきた。本書では、彼らを支援して学んだ教訓を紹介しよう。

計画を終わりにして、行動を起こそう

 2013年、私はテレビの情報番組にゲスト出演した。もう1人のゲストは、MBAを取得したインターネット起業家である。

 その人は新規事業に乗り出すにあたって、75ページもの事業計画書を書いたという。そして、視聴者にも同じように入念な計画書をつくるようにアドバイスした。これに対し、私は言った。「とても同意できませんね」。

 アイデアが浮かんだら計画書をつくる、というのは間違っている。この段階で重要なのは計画を練ることではなく、行動を起こすことだ。

 エンデバーの1000人近いアントレプレナーを対象に調査を行ったところ、事業を立ち上げた際、彼らの3分の2が正式な事業計画を書いていなかった。そして、80%以上が半年以内に最初の製品を世に送り出し、約半数がビジネスモデルを最低でも1度は変更していた。

事業計画書よりも、大切なもの

 誤解のないように言っておくと、事業計画を練ること自体が悪い、と言いたいのではない。重要なのは、書くタイミングである。あまりに早い段階で書くと、事業の勢いを失い、熱意を削いでしまいかねない。不安に駆られて、数字合わせに意識が集中してしまうからだ。

 スタートアップを立ち上げる段階で重要なのは事業計画ではなく、次のような態度や考え方だ。

  • ①“逆張り”思考でいく。因襲や慣習には従わない。リスクのある道を進む。皆が「あっち」に行く時に、1人だけ「こっち」に行く。
  • ②行動を起こして、活動を開始する。試す勇気を持ち、実際に挑戦する。

 ここで警告しておこう。キャリアを棒に振るような真似をすると「頭がおかしい」と言われる。アントレプレナーであれば、それは免れない。リスクを負う者だけが、利益を手にできるからだ。

スマートなリスクテイク:全財産を賭けるな

 ヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソンは、自著『ヴァージン ―― 僕は世界を変えていく』の中でこう述べている。

 「あなたがリスクを冒す人間ならば、リスクをうまく負う方法は、失敗した時のために防御策を用意しておくことだ」

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