2017年9月号掲載
OPTION B 逆境、レジリエンス、そして喜び
Original Title :OPTION B:FACING ADVERSITY, BUILDING RESILIENCE, AND FINDING JOY
著者紹介
概要
愛する夫の、突然の死 ―― 。フェイスブック最高執行責任者シェリル・サンドバーグが直面したこの苦難。人は誰でも、仕事の失敗、突然の病などの苦境に陥った時、何らかの形の「オプションB」(次善の選択肢)を選ばざるを得ない。彼女と友人の心理学者が、人生の喪失や困難と向き合い、乗り越えるための心の鍛え方を伝える。
要約
完璧な人生なんてあり得ない
結婚して11年目のある週末、友人の誕生日を祝うために、2人の子供を両親に預け、夫婦でメキシコに行くことになった。
金曜の午後、夫のデーブとプールサイドでのんびりしていた私は、眠り込んでしまった。目を覚ますと、デーブはそこにいなかった。部屋に戻ったが、いない。友人たちのいる海辺まで行ったが、そこにも姿が見えない。私はパニックの波に襲われ、「デーブがいないの」と叫んだ。
デーブは、私が眠っている間にジムに出かけ、そこで倒れたのだ。救急車で病院に向かう時ほど、人生で長く感じた30分間はない。病院で永遠とも思える時間が過ぎてから、小部屋に通された。ドクターの様子を見て、すべてを察した。ご主人にお別れを言いますか、と聞かれた ―― 。
こうして残りの人生が始まった。自分で選ぶはずもなく、覚悟のまったくできていなかった人生。
デーブが亡くなってから数週間後、彼が参加するはずだった父と子の催しのことで友人に相談した。誰かにデーブの代わりをお願いする計画を2人で立てた。「でも、デーブにいてほしかった」と、つい弱音を吐いてしまった。
友人は私の肩に腕をまわし、励ましてくれた。
「オプションAはもう無理なんだ。ならば、オプションB(次善の選択肢)をとことん使い倒そうじゃないか」
完璧な人生なんてあり得ない。だから、何らかの形の「オプションB」を選ばざるを得ない。
苦難からの立ち直りを妨げる「3つのP」
心理学者のマーティン・セリグマンは、人が失敗や挫折にどのようにして対処するかを長年研究し、次の「3つのP」が苦難からの立ち直りを妨げることを明らかにした。
- ・自責化(Personalization)
自分が悪いのだと思うこと。
- ・普遍化(Pervasiveness)
ある出来事が人生のすべての側面に影響すると思うこと。