2018年1月号掲載
残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する
Original Title :BARKING UP THE WRONG TREE
著者紹介
概要
これまで数々の“成功法則”が語られ、世間では広く信じられてきた。だが著者によれば、その多くは今や完全な誤り。「ルールを度外視して行動するリーダーが、大改革を成し遂げる」「“いい人”は成功できない」…。従来語られてきた法則を、エビデンス(証拠)を基に徹底検証し、人々にとって最もプラスになる結論を引き出す。
要約
成功するにはエリートコースを目指すべき?
過去8年にわたり、私は人生で成功する秘訣に関する様々な調査や研究結果を分析し、数々の答えを見いだしてきた。
その多くは驚くべきもので、中には世間の常識を真っ向から覆すものもあった。
なぜ高校の首席は億万長者になれないのか
ボストン・カレッジの研究者カレン・アーノルドは、1980~90年代にイリノイ州の高校を首席で卒業した81人を追跡調査した。すると、その90%が専門的キャリアを積み、40%が弁護士、医師など、社会的評価の高い専門職に就いていた。
しかし、世界を変革したり、人々に感銘を与えたりする者はゼロだった。アーノルドは言う。
「首席たちの多くは仕事で順調に業績を重ねるが、彼らの圧倒的多数は、それぞれの職能分野を第一線で率いる方ではない」
高校でのナンバーワンが、実社会でのナンバーワンにならないのはなぜか? 理由は2つある。
第1に、学校とは、言われたことをきちんとする能力に報いる場所だからだ。
第2の理由は、全科目で良い点を取るゼネラリストに報いる学校のカリキュラムにある。学生の情熱や専門的知識はあまり評価しない。ところが、実社会ではその逆だ。アーノルドはこう語る。
「彼らは仕事でも私生活でも万事そつなくこなすが、1つの領域に全身全霊で打ち込む方ではないので、特定分野で抜きんでることは難しい」
では、成功者になるのはいったい誰なのか?
偉大なリーダーの意外な条件
ハーバード大学ビジネススクールの研究者、ゴータム・ムクンダは、リーダーは異なる2つのタイプに分かれると分析する。