2018年1月号掲載
日本人の人生観
- 著者
- 出版社
- 発行日1978年7月10日
- 定価726円
- ページ数152ページ
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著者紹介
概要
日本人は「画一的だ」とよく言われる。例えば、いまだに多くの人が、良い学校を出て良い会社に就職することを目指す。この画一的な行動様式の背景には、何があるのか。山本七平氏が、日本人ならではの“伝統的な人生観”について、わかりやすく説く。人の生き方というものを考える上で、貴重な示唆を与えてくれる1冊だ。
要約
日本人の人生観とは
「人生とは何か」。これは簡単に言えば、「人」が「生きる」とは何か、ということだ。
聖書には「人はパンのみにて生くるにあらず」という言葉があり、多くの人に知られているが、次に続く言葉が案外に忘れられている。
続く言葉は、「あらゆる言葉」。それにさらに「神の口を通じて出た」と続く。
この言葉を踏まえて、我々は何を基準に生きているかを考えれば、それは「あらゆる言葉」であり、我々の場合は日本語である。
我々がものを考える時は日本語で考えている。では、ものを考えるとは何をすることか。色々なことが言えるが、最も簡単なものを例にとると、コンピューターと同じような作業をすることだ。
コンピューターには記憶装置があり、そこにデータが入っており、これによって答えが出る。この記憶装置の中がゼロなら、何の答えも出せない。
これは人間も同じで、例えば、事故で全記憶を喪失した人からは何の答えを得ることもできない。
このことが意味するのは、出せる答えは、蓄積された記憶の量に限定されるということだ。
こう考えると、記憶の量がその人の発想の範囲を決めてしまうわけだから、「憶える」ということは実に大切な作業である。
質の良い記憶の量を増やせば増やすほど、その人間の発想の総量は増えていく。これが、人間が生き、そして自由な発想をする一番の基本になる。
そうであるなら、何を記憶するかということが問題になる。この決定が、その人の生涯だけでなく、その民族の将来にも決定的な影響を及ぼす。