2019年7月号掲載

結婚不要社会

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著者紹介

概要

深刻な問題となっている、日本の若者の未婚化。その背後に何があるのか。「婚活」という言葉を世に浸透させた社会学者が、日本社会を分析し、結婚難の真相に迫った。結婚が不可欠だった近代から、困難になっている現代、そして結婚不要化が進む未来まで。欧米の事情と比較しつつ順を追って解説し、結婚のあり方を考察する。

要約

近代社会と結婚

 私の最初の新書『結婚の社会学 ―― 未婚化・晩婚化はつづくのか』が刊行されたのは、1996年8月のこと。同書では、結婚が減っている原因について、次の2点を指摘した。

 1つは、「男は仕事、女は家庭」という従来型の結婚にこだわっているということ。もう1つは、恋愛が活発化し、1人に決められない人たちが結婚を先延ばしにするということである。

 90年代以前は「恋愛したら結婚して当然」というのが社会的な風潮だった。つまり、性関係を持つには結婚を前提とすることが必要とされていた。しかし90年代は、「恋愛と結婚は別」つまり「恋愛しても結婚するとは限らない」というスタイルが増えてきた時代だった。

 そして、先の指摘をした1996年から2018年までの22年間で、若者たちが結婚できないという状況はますます深刻化している。

 1995年の30代前半の未婚率は、男性37.3%、女性19.7%。それが2015年には、男性47.1%、女性34.6%と男女ともに上昇している。

近代的結婚とは何か

 結婚というものは、文化や時代によって形態が変わるだけでなく、その意味や機能も異なる。

 北西ヨーロッパ(英仏独北欧など)やアメリカでは100~200年前、日本では60~70年前に、近代社会における結婚、つまり「近代的結婚」に移行したと考えてよい。

 では、そもそも近代社会とは何か。歴史的に見ると、14世紀終わり~16世紀初めのヨーロッパのルネサンスから興り、16世紀の宗教改革や18世紀の産業革命を経て、「前近代社会から置き換わった社会のあり方」と言うことができる。

 近代社会の最大の特徴は、「個人化」と言える。伝統的規範が緩み、社会的生活が個人の選択にゆだねられる部分が増えるのが、近代社会の特徴だ。

 では、個人化によって社会はどう変わるのか。結婚に関わる大きな変化は、次の2つである。

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