2018年6月号掲載
サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される いまの科学が証明した子育てへの影響の真実
Original Title :The Cyber Effect
著者紹介
概要
今日、3~4歳の幼児の16%が自分用のタブレットを、8~11歳児の30%超がスマートフォンを持っているという。こうしたデジタル・テクノロジーは、彼らの成長にどんな影響を及ぼすのか。米人気ドラマ「CSI:サイバー」の主人公のモデルにもなった心理学者が、最新の研究を踏まえ解説。子どもを持つ親たちに警鐘を鳴らす。
要約
子どもとインターネット
私は、サイバー心理学者である。
サイバー心理学とは、「新しい技術が人間の行動に及ぼす影響の研究」である。そして、サイバーとは、デジタルやテクノロジーに関係していることを意味する。
つまり私は、デジタルメディア、ゲーム、バーチャルリアリティー、人工知能(AI)などと人間がどのように交流しているかを研究している。
テクノロジーへの懸念
今、私が強く懸念するのが、発達中の子どもにテクノロジーが及ぼす影響だ。最新の研究によれば、3~4歳の幼児の16%が自分用のタブレットを持ち、8~11歳の児童の30%以上がスマートフォンを持つ。また、5~7歳の児童の3%、8~11歳の児童の23%が、ソーシャルメディアのアカウントを持っている。
現代の子どもが触れているのは、彼らの行動に影響を与え、操作することを目的とした、高度なアルゴリズムだ。実際、2017年、元フェイスブック社長ショーン・パーカーはこう述べた。フェイスブックは「人間の心理に存在する脆弱性」につけ込み、人々をハッキングしようとしていると。
アップルが子どもの過度のスマホ利用に懸念?
2017年、グーグル傘下のユーチューブは、児童虐待や暴力的な内容を含む動画の掲載を許していたとして非難された。グーグルはこの問題に対し、「数千人の監視員を雇う」と発表した。だが、ちょっと計算してほしい。数十億人のユーザーがいるのに、数千人の監視員で足りるのか?
2018年1月、フェイスブックは受け身的なソーシャルメディアの利用が害になる場合があることを認めた。同月、アップルの株主は、子どもによる過度のスマートフォン使用に対する「社会的不安の増大」という形で同様の懸念を表明した。
それは、私の懸念が当たっていたことを証明してもいる。テクノロジーが子どもや若者にもたらす多くのネガティブな側面は、調査や研究によって今、ようやく証明されようとしているところだ。
それは特に、不安やうつ、自尊心、自傷、睡眠の質、セクスティング(自分や友人を被写体として性的な画像を撮影・送信すること)、依存型の行動といった分野について言える。最新の研究によれば、不安やうつに悩む若者の割合は、過去25年間で70%増加している。
英国の王立公衆衛生協会(RSPH)が2017年に発表したレポートは、若者に対して、「ソーシャルメディアがメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性がある」と指摘している。