2018年7月号掲載

ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則

Original Title :Lifelong Kindergarten:Cultivating Creativity through Projects, Passion, Peers, and Play

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著者紹介

概要

著者が教壇に立つマサチューセッツ工科大学(MIT)では、大学院で幼稚園の教育アプローチを採用している。なぜか? 幼稚園の学びのスタイルが、創造的な思考を育むからだ。激変の時代、全ての人にとって必要な「創造的思考力」。その力をつけるための基本原則と、学びの大切さを説いた、人生100年時代の新しい教育論である。

要約

創造的思考力が育たない今の教育

 2013年8月。マサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭を執る私は、中国有数の工科大学で、「中国のMIT」として知られる清華大学の学長、陳吉寧(Chen Jining)に会った。

 陳は、中国の教育制度が深刻な問題に直面していることを認識していた。彼は、中国は進化する社会のニーズを満たすことのできる学生を育成していない、と語った。

 この問題は、学生の成績を見るだけでわかるものではない。実際、多くの中国人学生は伝統的な評価軸ではうまくやっていた。清華大学でもほとんどの学生は優秀な成績を収め、Aを取っている。

 陳はそうした学生を「A学生」と呼ぶ。しかし、他の何かが足りない。彼は、A学生の多くは、今日の社会で成功するために必要な、創造的で革新的な精神を備えていないと感じていたのだ。

変化の時代に求められる「X学生」

 陳は、新たな種類の学生 ―― 「X学生」が必要だと力説した。X学生とは、リスクを負いながら新しいことに挑戦する者たちだ。彼らは、単に教科書に書かれた問題を解決するようなことは望まない。自ら革新的なアイデアと創造的な方向性を生み出すのがX学生なのだ。

 中国だけでなく、多くの国の学校では、学生に対し指示とルールに従うよう教育する。しかし、現代の仕事環境は激しい変化にさらされている。こうした状況下で人々が繁栄するには、創造的に考え行動する能力がこれまで以上に重要なのだ。

世界中の子供たちをX思考者に

 幸いにも私は、X学生とX研究者で溢れた研究所、MITメディアラボで働いている。人々は常にアイデアを探究し、新しい可能性を発明している。

 私の目標は、世界中の子供たちがX思考者として育つことができるように手助けすることだ。それを実現するために、私の研究グループは、創造的な学びの体験に子供たちを巻き込むための、新しいテクノロジーやアクティビティ(学びの体験活動)の開発に焦点を当てている。

 これらのプロジェクトから教訓を引き出して、創造的思考を実践するための方法を示していこう。

 

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