2018年8月号掲載

AI 2045

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概要

今、AI(人工知能)は世界中の様々な場所で活躍している。作曲する、犯罪者を特定する、あるいは人事考課を行ったり、ビールのレシピを作ったり。2045年、AIが人知を超える「シンギュラリティー(特異点)」が訪れると予測される中、脅威を感じつつも、AIとの共存の道を模索し続ける。そうした人々の挑戦を描いた1冊である。

要約

2045年を探して

 自動運転やロボット、工場など、至るところで人工知能(AI)が活躍し始めている。

 AIが人知を超える「シンギュラリティー(特異点)」を迎えるのは、2045年。その時が迫りつつある。私たちはAIとどのように共存していけるかを考えなければならない時期に来ている ―― 。

人工知能が生むヒット曲

 「全米のヒット曲ランキングでAIが作ったのが今や2~3%、20年後には80%になるかもしれない」。そう語るのは、米カリフォルニア大学サンタクルーズ校のデビッド・コープ名誉教授だ。自分で開発したAIが1000曲を作曲してくれたおかげで、「印税を受け取っている」と言う。

 日本では、直木賞作家の朝井リョウ氏が、AIとの「共作」を真剣に考え始めた。小説で書くべきテーマは自分で探し出すが、それに沿ってあらすじや登場人物を決めるのはAIだ。舞台設定が整えば、朝井氏は文章の執筆に全力でとりかかる。

 AIに簡単な小説を書かせる試みは一部にあるが、朝井氏は自分の得意分野をより生かすためにAIと組みたいという。

 これまではストーリーを固めても、書き進むにつれ、「大本の設定が間違っていたのでは」と不安が募り悩む日々だった。「AIが手伝ってくれたら迷いなく書けるだろう」。朝井氏は、AIとともに自分の限界を乗り越える道を探る。

兵器転用、核の二の舞いも

 イスラエルでは、軍がAI技術に力を入れ、その結果、AIベンチャーが続々と生まれている。例えば、脳をネットにつなぎ、人の記憶や脳の機能をコンピューターに「ダウンロード」する技術を開発する企業が現れた。

 この技術は、人間のように臨機応変に対応するAIに生かせる。サイバー対策やロボットに応用すれば、性能を飛躍的に高められる。その分、AI技術が軍事に使われる懸念は強い。

 米民間団体フューチャー・オブ・ライフ・インスティチュートは2015年7月、AI兵器の開発禁止を求める公開書簡を発表。テスラモーターズのイーロン・マスク氏ら2万人の署名を集めた。

 だが、拡散を止められない核兵器の二の舞いにならない保証はない。追い詰められた国やテロリストがAI兵器に頼れば、世界は危機に陥る。

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