2018年11月号掲載

憲法とは国家権力への国民からの命令である 民主主義の主権は在民にあり

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著者紹介

概要

憲法の最大の使命は、生命、自由、財産という、国民の基本的人権を守ること。だが政府は、自国民を他国が拉致してもほぼ何もせず、バブル崩壊時に助けたのは大銀行。にもかかわらず、国民は「憲法違反」だと声を上げない。本気で憲法と向き合わない。そんな現状を憂える著者が、近代民主主義を通観し、憲法の本質を説く。

要約

失われている日本国憲法の精神

 「病、膏肓に入る」

 現代日本の状況を一言で述べよと言われれば、筆者はこの故事成句を挙げずにはおれない。

 完全に健康な人など、この世にいない様に、どこの国にも病気の1つや2つはある。だが日本の場合、その病気たるや、既に致命的な段階に達している。病ここに至れば、名医とて治せない。その様な状態の事を「病、膏肓に入る」と言う。

 中国の古代医学では、心臓の下の部分を「膏」と呼び、横隔膜を「肓」と呼ぶ。病気が膏と肓の間、つまり心臓と肺の間に入り込んでしまうと、もはや治療の手立てはないとされる。

滅亡の淵に立つ日本

 いわゆる「バブルの破裂」の後、日本経済の容態は重篤の度を増す一方である。株価も地価も沈みっぱなし。こうした状況を承けて近年、「日本病」という言葉が頻繁に用いられる様になった。

 この日本病を治すのは至難の業であろう。

 なぜか。既に病が膏肓に入っているからだ。今の日本は、国家の土台その物が腐り始めている。

 現代日本は民主主義(デモクラシー)と資本主義の2大看板を掲げている。この2つこそ日本国憲法の要である。ところが、その実態はデタラメもいい処である。

憲法で最も重要な条文はどれか

 「デモクラシーは過程(プロセス)であって、完成された状態を言うのではない」

 ここが、憲法を理解する為の急所である。ところが、日本人にはここの処が腑に落ちていない。民主主義も憲法も、それを日々育てる努力をしなければ息絶えてしまう。そこの処がわからないから、憲法も民主主義も死にかけているのだ。

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