2018年12月号掲載
方法序説
Original Title :DISCOURS DE LA MÉTHODE
- 著者
- 出版社
- 発行日1997年7月16日
- 定価572円
- ページ数137ページ
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著者紹介
概要
『方法序説』は1637年に世に出た。原題は「理性を正しく導き、学問において真理を探求するための方法の話〔序説〕」。真理を見いだすための方法を求め、思索を重ねたデカルト、41歳の時の著作である。考える私、自らの思想や生を導く規準…。示される新しい哲学の根本原理や方法は、近代以降の学問の基礎をなすものといえる。
要約
方法の探求
私がまだ若かった頃、哲学の諸部門の中では論理学を、数学の中では幾何学者の解析と代数を熱心に学んだ。この3つの学問は、私にきっと何か力を与えてくれると思われたのだ。
しかし、それらを検討して次のことに気づいた。
まず論理学は、未知のことを学ぶのに役立つのではなく、むしろ、既知のことを他人に説明したりするのに役立つだけだ。
また、論理学は有益な多くの規則を含んではいるが、中には有害なものも混じっていて、それらを選り分けるのは難しい。
次に解析と代数は、両者とも、ひどく抽象的で何の役にも立たないことにだけ用いられている。
このような理由で私は、この3つの学問の長所を含みながら、その欠点を免れている何か他の方法を探求しなければ、と考えた。
4つの規則
法律の数が多いと、しばしば悪徳に口実を与えるので、国家は、ごくわずかの法律が遵守される時の方がずっとよく統治される。
同じように、論理学を構成しているおびただしい規則の代わりに、一度たりともそれから外れまいという決心をするなら、次の4つの規則で十分だと信じた。
第1は、私が明証的に真であると認めるのでなければ、どんなことも真として受け入れないこと。言い換えれば、注意深く速断と偏見を避けること、そして疑いを差し挟む余地のないほど明晰かつ判明に精神に現れるもの以外は、何も判断の中に含めないこと。
第2は、検討する難問の1つ1つを、できるだけ多く、しかもよりよく解くために、必要なだけの小部分に分割すること。
第3は、思考を順序に従って導くこと。そこでは、最も単純で最も認識しやすいものから始めて、少しずつ、階段を昇るようにして、最も複雑なものの認識にまで昇っていくこと。