2019年5月号掲載

ロジスティクス4.0 物流の創造的革新

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著者紹介

概要

人手不足や過重労働問題…。危機的状況にある物流業界で、今、「ロジスティクス4.0」という新たな技術革新が起きている。AI、IoTといったテクノロジーの進化が、人的リソースに依存する物流の根幹を変えつつあるのだ。その変化とは? ロジスティクスの動向に精通した著者が、事例を挙げて明らかにし、業界の将来を見通す。

要約

ロジスティクスにおける革新の変遷

 「ロジスティクス4.0」。これは、物流の世界において進みつつある新たなイノベーションである。ロジスティクスは、以下のような革新の変遷を経て、今、根幹から変わろうとしている ―― 。

ロジスティクス1.0:輸送の機械化

 古来、大量・長距離輸送の要は船舶だった。だが、19世紀に入り、この状況が大きく変化する。

 鉄道(蒸気機関車)が出現し、陸上での輸送力を飛躍的に高めた。蒸気機関の実用化は船舶の運用にも変化をもたらす。天候に左右されない蒸気船が出現し、海上輸送の定時性を格段に高めた。

 さらに、20世紀に入ってからはトラックが普及し、数多のトラック運送会社が産声を上げた。

ロジスティクス2.0:荷役の自動化

 1950年代に入ると、「荷役の自動化」が始まる。前述のように輸送の機械化は進んだものの、荷物の積み降ろし作業は全て人手に頼っていた。だが、第2次世界大戦後にフォークリフトなどが普及し、荷役作業の効率性を高めた。また、60年代後半には、倉庫内の荷役作業の自動化が進んだ。

ロジスティクス3.0:管理・処理のシステム化

 1970年代に入ると、「管理・処理のシステム化」の萌芽が見え始める。それまで、荷物や機械の管理・処理に関する業務は人手に頼ったままだった。この状況に、一部の大企業を中心とした基幹業務のシステム化が変化をもたらした。

 例えば、WMS(倉庫管理システム)は、倉庫内の在庫数量を管理するために導入された。それが現在、在庫だけでなく、入荷、格納、ピッキング、検品、梱包までの作業状況などをトータルで管理するシステムとして活用されるようになっている。

ロジスティクス4.0:物流の装置産業化

 そして、現在進みつつある第4の革新こそ、ロジスティクス4.0である。IoT、AI、ロボティクスといった次世代テクノロジーの進化と、活用の拡大は、ロジスティクスの根幹を変えようとしている。「省人化」と「標準化」による「物流の装置産業化」が起きつつあるのだ。

省人化と標準化による革新

 では、ロジスティクス4.0における省人化、標準化とは、具体的にどのようなものなのか?

輸送の省人化

 省人化とは、ロジスティクスの各領域において「人の操作や判断」を必要とするプロセスが大きく減少することを指す。つまり、物流の主体が人から機械やシステムに置き換わるわけだ。

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