2019年11月号掲載
戦略完遂力 人と組織を動かす6つの策
著者紹介
概要
調査によれば、経営戦略に携わった人の8割近くが“失敗”を経験している。そして、失敗の原因は、戦略そのものではなく、「実行上の問題」にあった。例えば、組織体制の不備、不十分なアクションプラン、あるいは社員のモチベーション低下など。本書では、代表的な6つの問題点を取り上げ、成功に転じるための方策を指南する。
要約
失敗頻発、経営戦略の残念な実態
ビジネスの競争環境が目まぐるしく変化する今、企業は新規事業開発や新たなマーケット開拓などありとあらゆる経営戦略を次々に打ち出している。
だが、そうした戦略の中には、成果が順調に上がるものもあれば、そうでないものもある。
経営戦略の失敗経験は「8割近い」
こうした明暗の差は、どこから生まれるか。
その原因を探るため、2019年4月、売上高100億円以上の企業を対象に、経営戦略の立案やその実行状況に関するアンケート調査を実施した。そして、戦略実行に携わった経験があるビジネスパーソン515人から回答を得た。
集計結果の中でとりわけ目を引くのは、成功裏に完遂できなかった経営戦略が非常に多いことだ。
「とん挫した経験があるか」を聞いたところ、「はい」の回答が76%。実に4人のうち3人が、経営戦略の失敗を経験している計算になる。
この回答内容を分析すると、さらに驚くべき事実が浮かび上がってくる。
「とん挫した経験がない」とした残り24%の回答者は、いずれも中長期経営計画にしか関わったことがなかった。裏を返せば、中長期経営計画以外の戦略に携わった経験を持つ回答者は、1人の例外もなく失敗を体験しているのだ。
失敗原因の9割は「実行上の問題」だった!
どうして、経営戦略のとん挫がこれほど多いのだろうか。
とん挫した理由を質問したところ、「戦略の実行可能性が低かった、方向性が間違っていた」と戦略自体の問題を挙げたのは、とん挫経験がある人のうちわずか9%。残りの約9割は、「戦略に問題はなく、実行上の問題があった」としている。
その「実行上の問題」を掘り下げるべく、「実行上の問題があった」とした347人を対象に、戦略がとん挫した理由を答えてもらった。