2020年2月号掲載
年金崩壊後を生き抜く 「超」現役論
- 著者
- 出版社
- 発行日2019年12月10日
- 定価935円
- ページ数237ページ
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著者紹介
概要
「人生100年時代」が近づきつつある。だが、決してバラ色の時代ではない。国や会社は、助けてくれない。年金財政の破綻は避けられず、定年延長にも期待できない。となれば、自立して働き続けるしかない ―― 。日本経済を見つめ、物申してきた著者が、老後資金不足問題を取り上げ、組織に頼らない、新しい働き方を提言する。
要約
年金財政は維持できない
「人生100年時代」が到来しつつある。
新しい世界が開けつつあるのは、素晴らしいことだ。しかし、現実には、100年を生き抜くのは、決して容易なことではない。
多くの人が直面する経済的な問題が、2つある。
- ①年金額が十分でない。しかも、将来さらに給付水準が切り下げられる可能性がある。
- ②従って、働き続けることを考えざるを得ない。
人生100年時代は決してバラ色の時代ではない。むしろ、「将来は厳しい」と警告せざるをえない。
人口高齢化で負担は増える
日本の人口構造の高齢化は今後も進行するため、社会保障制度の抜本的な見直しが必要である。にもかかわらず、そうした改革は行われていない。
社会保障問題を考える際の基礎は、人口構造の変化だ。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(2017年推計)によると、2020~2040年の20年間で、15~64歳人口は、7406万人から5978万人に減る。他方で、65歳以上人口は、3619万人から3921万人に増える。
人口の高齢化は、社会保障制度の維持を困難にする。費用を負担する若年者が減少し、他方で、受益者である高齢者が増加するからである。
「大幅な負担増は必要ない」という不思議な結論
ところが、政府による見通しでは、「大幅な負担増なしに社会保障制度を維持できる」という結果になっている。なぜ「社会保障財政は負担の大幅な引き上げなしに維持できる」とされるのか?
それは、財政検証において、現実離れした「高い消費者物価上昇率」と「高い実質賃金上昇率」が仮定されているからだ。
2019年の財政検証では、消費者物価上昇率については、年率1%を超える伸び率が想定されている。しかし、現実の消費者物価の対前年比を09年以降で見ると、14年(2.6%)と18年(0.9%)を除けば、0.9%未満だ。14年が高いのは消費税増税の影響で、それを除けば0.6%程度である。
また、実質賃金の上昇率もかなり高く想定されている。現実の実質賃金は、毎月勤労統計によると、2012年の104.5から2018年の100.8まで低下している。つまり、「実質賃金の伸び率はマイナス」が日本経済の実態である。ところが、そうした姿は、財政検証では排除されている。