2020年9月号掲載
邪悪に堕ちたGAFA ビッグテックは素晴らしい理念と私たちを裏切った
Original Title :DON'T BE EVIL HOW BIG TECH BETRAYED ITS FOUNDING PRINCIPLES ― AND ALL OF US
著者紹介
概要
「GAFA」とは、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルのこと。各社の頭文字を取り、こう称される。今日、これら巨大IT企業(ビッグテック)は、経済や政治に、そして私たちの暮らしに、大きな影響を及ぼしている。その便利さの裏に潜む弊害とは? デジタル界の巨人たちの“闇”の部分に斬り込み、警鐘を鳴らす。
要約
ビッグテックが政治に与える影響
私たちは今、民主主義の存続を心配せざるをえない状況に追い込まれている。
「ビッグテック」と呼ばれる現代を代表する巨大企業 ―― グーグル、フェイスブック、アマゾン、アップル ―― をはじめとしたテクノロジー企業がとめどなく力を増していく一方で、民主主義はどんどん不安定になっている。
グーグルとフェイスブックが、2018年までにインターネットの広告市場の60%を占めたことによって、新聞や雑誌は力を失った。その影響で2004~18年に約1800の新聞が廃刊した。
民主主義にとって信頼できる情報は酸素のように重要なのに、それが行き渡っていないのだ。
国家への信頼の低下
また、国家への信頼も危機に瀕している。人々は制度に、主導者に、社会の統治システムそのものに対する信頼を失ってしまった。
ホワイトハウスを批判するのは容易だが、ここで問題なのは政権だけではない。ソーシャルメディアが浸透するにつれ、民主主義への信頼が低下したことが調査で明らかになっている。
その理由の1つが、フェイクニュースの問題だ。調査によると、フェイクニュースは本物のニュースよりも拡散・共有される確率が70%も高い。
市民を監視するビッグテック
ビッグテックはアメリカ国内で、地方自治体や州あるいは国の当局と協力しながら、監視国家もどきをつくりはじめている。例えば、アマゾンは顔認証技術を警察に売り、ビッグデータを扱う会社パランティアは、ロサンゼルス警察と協働し、市民監視網を敷こうとしている。
こうして集められたデータがどんな目的で使われようとしているのか、秘密であるため、本当のことは誰にもわからない。しかし、民主主義がビッグテックに浸食されつつあることはわかる。
政治に関与するビッグテック
ビッグテックの巨人たちは、自分たちにとって最も有利な派閥への支援を惜しまない。
例えば、グーグルの元CEOエリック・シュミットは民主党と共和党の両方に資金援助を行った。また、民主党員の大半が、ビッグテックの広範なロビー活動によって買収されている。共和党員でも買収された者の数は増えつつある。