2021年3月号掲載
サプライウェブ 次世代の商流・物流プラットフォーム
- 著者
- 出版社
- 発行日2020年12月18日
- 定価1,980円
- ページ数254ページ
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著者紹介
概要
今回のコロナ禍では、サプライチェーンの脆弱性が露わになった。例えば、マスクなど、製造を中国に依存していた物品の供給が一時、滞った。また、近年、消費者の価値観が多様化し、「マスカスタマイゼーション」(変種変量生産)への転換も進んでいる。今後、サプライマネジメントはどう変わるのか、その未来の姿を描く。
要約
チェーンからウェブへの進化
我々が普段目にするモノの多くは、素材の調達、製造、保管、輸送、販売などのプロセスを経て消費者の手に渡る。この川上から川下に至るまでの供給の連鎖を、「サプライチェーン」と呼ぶ。
2つの変化
今、この川上から川下へのモノの流れを取り巻く環境が大きく変わろうとしている。それは、次の2つの方向への変化である。
①マスカスタマイゼーションへの変革
人々の消費に対する価値観は、全ての業界で多様化してきている。そのユーザーサイドの変化に合わせるかのように、マスプロダクション(大量生産)からマスカスタマイゼーション(変種変量生産)への転換が進んでいる。
新型コロナウイルス感染症の流行は、人々のライフスタイルに大きな影響を与えた。例えば、イエナカ消費(巣ごもり消費)の増加。EC(電子商取引)やフードデリバリーといった宅配サービスの利用のみならず、在宅勤務を充実させるための環境作りに向けた消費意欲も高まっている。
消費に対する価値観の多様化は、究極的には「自分だけの商品」を求めることにつながる。他方、生産技術の革新が進めば、「自分だけの商品」をより効率的に作れるようになる。
この需給双方の変化は、マスカスタマイゼーションの普及を後押しするだろう。
その実現に向けてはサプライチェーンの変革も必要となる。「自分だけの商品」を提供するということは、製品ラインナップが無限大に拡大するということだからだ。それに対応するには、素材やパーツの種類を増やす必要があり、セットメーカーは調達先を広げていくことが求められる。
一方、セットメーカーに素材やパーツを提供するサプライヤーからすれば、変種変量生産が増えることで、出荷ロットが小さくなると予想される。従前の売上を維持・拡大するためには、納品先を広げていくことが重要となるだろう。
つまり、セットメーカーもサプライヤーも、不特定多数の調達先・納品先との取引を広げられなければ、真のマスカスタマイゼーションを成し得ない、成長が見込めない時代になるということだ。
②コト売りへの変革
サプライチェーンを取り巻く環境のもう1つの変化は、「モノ売りからコト売りへの転換」だ。
人々の価値観の多様化は、商品の買い方や使い方にも変化を及ぼす。かつては「新品を買いたい」という人が多かった。しかし、今日ではレンタルやリユースに抵抗感のない人が増えた。