2021年9月号掲載

日本“式”経営の逆襲

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著者紹介

概要

最近、「両利きの経営」「リーン・スタートアップ」など、米国発の最新経営技術がもてはやされている。だが元をたどれば、源流は日本にある。ではなぜ、米国の経営理論が“世界標準”となるのか? カギは「コンセプト化」。本書は、日本の弱みである、この問題に切り込んだ。日本の反省点を指摘し、未来への処方箋を示す。

要約

逆輸入される日本の経営

 近年、ビジネスの世界では「両利きの経営」という概念が流行している。2019年にはチャールズ・オライリー教授とマイケル・タッシュマン教授による『両利きの経営』の日本語訳が出版され、話題を呼んだ。

 「両利き」とは Ambidexterityの訳で、経営においては「既存の技術や知識などの活用(深化・深耕)と探索」であるとされる。要するに、既存のビジネスでしっかり稼ぐことと、新しいビジネスを始めたり、イノベーションを起こしたりすることとを両立する経営、という意味である。

「両利きの経営」ブームの源流はどこに

 これに関して時々、「日本企業は両利きの経営ができないからダメだ」といわれる。しかし、既存の技術や知識を活用しつつ、新しい技術や知識を探索するのは日本企業の得意技ではないか?

 例えば、「カイゼン活動」。これは生産活動を行う中で、生産に関しての知識を蓄積し、さらにその知識に疑問を持つ機会を与えることで、生産やサービスのあり方を再考することを指す。

 カイゼンは既存の生産の知識を深化させ、その知の深化を前提として、新たな生産のやり方が探索される。結果として、新車種の量産が既存の生産ラインを活用する形で安価に実現されたりする。

 これは、まさに両利きの経営ではないか?

リーン・スタートアップ

 また、「リーン・スタートアップ」もよく耳にする言葉だ。とりあえず作って、市場の反応をみて、学習するというプロセスを高速で回していく起業方法のことである。2011年に、エリック・リースによって提唱された。

 現代のスタートアップ企業は、不確実性と複雑性の高い競争環境で経営を行っている。そのような状況において、着実に準備をすすめる従来型の起業プロセスでは競争に取り残される。

 実は、このリーン・スタートアップの思想の源流は、トヨタ生産方式にある。

 「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」作ることを目標にするのが、トヨタ生産方式だ。

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