2021年9月号掲載
精神科医がすすめる 疲れにくい生き方
- 著者
- 出版社
- 発行日2021年7月11日
- 定価1,628円
- ページ数270ページ
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著者紹介
概要
十分休んだのに疲れが抜けない…。その原因は身体ではなく、脳にあるのかもしれない。チャットをしながら食事するなど“マルチタスク”だらけの日常を送ったり、ネガティブな感情を持ったりすると、「脳の疲れ」がたまりやすいのだ。精神科医で禅僧の著者が、そんな現代人ならではの疲れのメカニズムを説き、対処法を指南する。
要約
疲れには3種類ある
現代社会に暮らしている私たちにとって、疲れと無縁でいることはもはや不可能かもしれない。だからこそ、疲れと上手に付き合う必要がある。
疲れと聞くと、まずは肉体的な疲れが思い浮かぶ。そして、体の疲れを回復させるために、睡眠や休息をとる。しかし現代では、しっかり休息をとっても疲れが取れない、と悩む人は少なくない。
3種類の疲れ
実は、「疲れ」には様々な性質の疲れがある。これを、具体的に3種類に分けて考えることが、適切な対処行動につながる。
まず、大きくは「体の疲れ(肉体の疲れ)」と「脳の疲れ」に分かれる。そして「脳の疲れ」は、ネガティブな感情による「心の疲れ」と「マルチタスクによる疲れ」に分けられる。
心の疲れ
なぜ、「心の疲れ」が脳の疲れに分類されるのかというと、感情を統制しているのも脳だからだ。
多くのネガティブな感情を持つと、脳の感情を司る部分が働きやすくなる。するとストレスを感じやすくなるため、それを抑えようと、今度は理性を司る部分が働く。こうして脳が疲れるわけだ。
マルチタスクによる疲れ
「マルチタスクによる疲れ」は、複数の仕事を同時にこなしていることで起こる。
人間の脳は本来マルチタスクが苦手だ。脳が一度に注意を向けられる総量は有限だからである。
にもかかわらず、「資料を作らねば」「商談をまとめないと」といった具合に、同時に進めるべきことが多く、しかもそれがずっと続いていく。すると、脳は常にスイッチが入った状態で休めず、その結果、脳が疲れてしまうのである。
このマルチタスク型の疲れに該当する人が、急増している。その人たちに共通して当てはまるのが、明白な悩みがないのに疲れていることだ。
「よくわからないが、疲れている」