2022年2月号掲載

ロボットと人間 人とは何か

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著者紹介

概要

家庭での雑談相手や語学教師など、人と関わるロボットが身近になりつつある。ロボットが意図や欲求を持ち、自律的に動くようになるのも、そう遠い未来ではないだろう。そんな社会の到来を前に問うべきは、「人間の本質とは何か」ということ。世界的なロボット工学者が、自らの研究開発と、それを通じて思索してきたことを語る。

要約

実用化され始めた対話ロボット

 私が専門とするロボット工学の研究には、主に2つの目的がある。

 1つは、人間のようなロボットを開発し、人間の役に立たせるという、工学的な目的である。もう1つは、人間のようなロボットの開発を通して、人間について調べるという、科学的な目的だ。

 このようなロボットに関する学問を、私は「ロボット学」と呼ぶ。人間に似たロボットを開発し、それを用いて人間を理解するという学問だ。

家庭内対話ロボット

 近年、人と対話するロボットの研究開発が進み、目的や状況を限定すれば、人と自律的に対話するロボットを実現できるようになっている。

 その1つが、家庭内で雑談する対話ロボットだ。むろん、対話できる状況は限定される。例えば、朝起きた時の対話に特化するといったように。だが、対話できる状況は徐々に拡大していくだろう。

ホテル対話サービスロボット

 家庭と同様か、それ以上に可能性があるのがホテルである。例えば、ホテルの従業員がいろいろと親切に案内をしてくれるのはありがたいが、時に煩わしくも感じる。そんな時にロボットが話をしたり、案内したりしてくれる…。ロボットの場合は人間の従業員とは異なり、部屋にいてもプライバシーを侵害されている感じがしない。

語学教師ロボット

 すでに本格的に利用され始めているのが、語学教師ロボットである。語学学習は、実際にその言語で対話する体験が非常に重要だ。この対話相手に、ロボットを用いることができる。

 ロボットには、人間の教師よりも優れた面がいくつもある。例えば、語学が未熟な学習者にとって人間の教師と対話練習をするのは恥ずかしいものだが、ロボットなら話しやすい。また、ロボットの発音は完璧である。日本人の英語教師よりもはるかにきれいな発音で話すことができる。

 

アンドロイドの現在と未来

 前述のような対話ロボットは、言わば普及型のロボットである。一方で、人間に酷似したロボット「アンドロイド」も、利用場面を選べば実用的に用いることができる。

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