2022年9月号掲載
テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる
- 著者
- 出版社
- 発行日2022年6月15日
- 定価990円
- ページ数230ページ
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著者紹介
概要
私たちの未来は、驚きに満ちたものとなる! 米MITのメディアラボ所長を経て、起業家として活躍する著者が、最先端のテクノロジーが社会や経済、文化、そして個人に及ぼす変化を予測した。「web3」「メタバース」「NFT」。この3つをキーワードに、様変わりする世界の姿を描く。大転換の時代を生きる上で、指針となる書だ。
要約
web3で世界はこうなる
今、世界に劇的な変化が起ころうとしている。この大変化の波は、働き方や文化、アイデンティティ、教育、民主主義など、あらゆる領域に及ぶ。
では、この大変化とは、どのようなものか? それを理解するカギとなるのが、「web3」「メタバース」「NFT」である。
web3
ウェブの黎明期には、自ら情報を発信しようとした人々は、自分でWWWサーバーを立ち上げ、情報発信を行った。そして、この新しい情報発信の形であるホームページを次々に見つけて楽しんだ。そこに中心はなく、分散的なサーバーが世界中に点在していた。そこへ大企業や大組織、各国政府も参入する。これがWeb1.0だ。
次のWeb2.0では、ブログやSNSが流行する。ただ、参加者が増えるに従い、次第に、これらの場(プラットフォーム)を提供している企業の力が大きくなっていく。気がつくと、ウェブ黎明期にインターネットの美点だった「非中央集権的な構造」が、数少ないプラットフォーム企業を中心に展開する中央集権的な構造になってきた。
そして生まれたのが、web3のムーブメントだ。web3を支えるブロックチェーンという仕組みによって様々な非中央集権的な試みが行われている。その一例が、「DAO(ダオ):Decentralized Autonomous Organization=分散型自律組織」。この形態の組織では「経営者→従業員」といった上意下達ではなく、何事もメンバー全員参加のもとで直接民主主義的に決められる。この新しいDAO的ガバナンスが、会社組織や行政でも採用される日がくるかもしれない。
メタバース
バーチャルリアリティ(VR)が、ここへきてメタバースという言葉に置き換わり、急激に盛り上がりを見せている。その背景はコロナ禍だ。コロナ禍で人々がオンラインで「会う」のが当たり前になったことで、バーチャル世界で「会う」ことへの身体的・心理的障壁も確実に低くなった。
そんなバーチャルリアリティを含むメタバースは、人間が己の身体性などから解放され、時空を超えてコミュニケーションできる場である。これが当たり前になると、僕たちのアイデンティティやコミュニケーションに大変化が起こるだろう。
NFT
web3では、「クリプトエコノミー」という経済圏が形成されている。ここでは、円やドルといった法定通貨(フィアット)ではない、「暗号資産(クリプト=仮想通貨やトークン)」が流通している。
法定通貨の世界、これを「フィアットエコノミー」と呼ぶが、そこでは経済や政治は国による管理とトップダウンの決定、企業などの組織運営は経営者による管理とトップダウンの決定など、あらゆることが中央集権的である。
そんなフィアットエコノミーとは別に、中央集権的な管理者の存在なしに、個人や組織、資産が、分散的・自律的に動き回っている経済圏がクリプトエコノミーだ。
web3のエコシステムを理解する上で欠かせない概念が、「トークン」だ。