2022年5月号掲載
セレンディピティ 点をつなぐ力
Original Title :THE SERENDIPITY MINDSET
- 著者
- 出版社
- 発行日2022年2月17日
- 定価2,200円
- ページ数443ページ
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著者紹介
概要
「幸運は備えある者に訪れる」。生化学者ルイ・パスツールのこの言葉は、成功をもたらすのは「運」だけではないことを示している。偶然の出来事を好機に変え、自ら幸運を掴み取る ―― そんな「セレンディピティ」はどうすれば起こせるのか。本書は、“予想外”を最高の成果につなげるためのマインドセットを解説する。
要約
人生の成功を決めるもの
自分の運命を決めるのは自分だと、誰もが思いたがっている。未来をコントロールしたいと願っている。要するに、人は計画を立てたいのだ。
現に、組織も政府も個人も、自らの立てた計画、戦略、目的に沿って動いている。
だが、私たちは本当に人生をコントロールできているだろうか。どれだけ計画を立てても、そこには常に「予想外」という別の要素が絡んでくる。そして、予想もしていなかった出来事や偶然の出会いといったものは、私たちの人生と未来に大きな違いを生じさせることも多い。
科学的発見も偶然の結果生まれている
科学的研究という厳格な世界においてさえ、予想外は(ほぼ)常に起きている。重大な科学的発見の30~50%程度は、意図せざる偶然の結果生まれていることが研究によって示されている。ある薬品がこぼれて別の薬品と混ざる、あるいはたまたま顔を合わせた専門家同士の何気ない会話から新たなひらめきが生まれる、といった具合に。
成功を左右するのは、運と努力の相互作用
では、成功は「運だけで」決まるのか?
それも違うことを、私たちは直感的にわかっている。人生において重要な転機は偶然訪れるように見えるが、それが頻繁に巡ってくる人、そして結果的により多くの成功をつかむ人というのは確かにいる。
これは今に始まったことではない。生化学者のルイ・パスツールは、「幸運は備えある者に訪れる」と考えていた。古代ローマの政治家セネカは、「幸運は準備と好機が重なった時に生まれる」という言葉を残している。
共通するのは、偶然は非常に重要な要素ではあるものの、人生は完全な運だけで決まるものではない、という考えだ。「運は自ら切り拓くもの」「機を見るに敏」といった慣用句も、人生における成功を左右するのは純粋な運と努力の相互作用、すなわち両者の「シンセシス(統合)」である、という考えを映している。
セレンディピティの3つの類型
偶然と人間の志や想像力の相互作用、それが「セレンディピティ」だ。セレンディピティを定義すると、「予想外の事態での積極的な判断がもたらした、思いがけない幸運な結果」となる。
セレンディピティは世界を動かす隠れた力であり、日々のささやかな出来事から人生を変えるような事件、さらには世界を変えるような画期的発明の背後に常に潜んでいる。