2022年7月号掲載
新型コロナはどこから来たのか 国際情勢と科学的見地から探るウイルスの起源
Original Title :What Really Happened In Wuhan (2021年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2022年4月21日
- 定価2,860円
- ページ数501ページ
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著者紹介
概要
世界中を震撼させた新型コロナウイルス。その起源を、ジャーナリストが感染症研究者や各国政府高官への取材から探った。一般に動物由来とされるが、中国の研究所からの流出を示唆する科学者は少なくない。にもかかわらず流出説が広まらないのは、中国共産党の戦略や、一部の科学者による利益相反などが背景にあるからだという。
要約
声をあげる科学者たち
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染爆発はなぜ起こったのか?
当初、感染症を保有した動物が中国・武漢の不衛生な海鮮市場で売られていたことが原因ではないかと言われた。だが、新型コロナは人工のウイルスである可能性を複数の科学者が示唆している。
新型コロナのフーリン切断部位
米ラトガース大学のリチャード・エブライト教授は、2020年1月8日時点で、新型コロナウイルス感染症が自然由来ではない可能性に気づいた。
教授は、新型コロナウイルスの遺伝子配列には「特筆すべき変わった面」があるという。それは、このウイルスのスパイクたんぱく質のある特定の場所に、“フーリン切断部位”と呼ばれるものがあることだ。これにより、新型コロナではウイルスがある生物種から別の種へ跳びうつる能力が飛躍的に高まり、また感染力も高まっている。
科学者のニコライ・ペトロフスキーも、新型コロナのフーリン切断部位の異常さを認める。
「問題は、新型コロナウイルスにはフーリン切断部位があるのに対し、最も系統の近いコウモリのウイルスにも、SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスにもないことだ」
そのため新型コロナがフーリン切断部位をどこで手に入れたかが大きな疑問として浮上する。
ノーベル賞を受賞したウイルス学者デイヴィッド・ボルティモアは、新型コロナのフーリン切断部位は、このウイルスが自然由来ではなく研究所由来であることを指し示しているという。
カリフォルニア大学のリチャード・ムラー名誉教授も、フーリン切断部位は「遺伝子操作の証拠だ」という。さらに、ハンブルク大学のローランド・ヴィーゼンダンガー教授もこの部位に着目し、「新型コロナウイルスが研究施設から出たものなのは99.9%確実だ」と述べている。
科学者の声が届かなかった理由
このような結論に達した研究者は他にも大勢いるが、みな公表はしたがらなかった。
科学者たちの声がなかなか届いてこないのには理由があった。それは、科学雑誌が彼らの研究の掲載を拒んでいたからだった。