2022年7月号掲載

世界少子化考 子供が増えれば幸せなのか

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概要

出生率が下がり続け、2100年の人口は今の半分、6000万人になると見られる日本。少子化対策は、喫緊の課題とされる。だが、少子化は悪いことなのか? 世界に目を向ければ、受け止め方や対策は様々だ。中国、フランス、イスラエル…。毎日新聞外信部の記者たちが、各国の現状を報告、日本の少子化対策のヒントを提供する。

要約

中国:「一人っ子政策」で少子化に

 日本は、少子化に悩んでいる。

 2020年の日本の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の数に相当)は1.34で、5年連続で低下した。現在約1億2000万人の日本の人口は、2100年には現在の半分の6000万人程度になる見通しだ。

 では、世界各国の状況はどうか?

「一人っ子政策」撤廃も出生数は低下

 例えば、中国。かつては人口の爆発的増加を懸念し、「一人っ子政策」を導入した国が、今では出生数の低下に悩み始めている。

 人口減少への危機感を抱いた中国政府は2016年、一人っ子政策を撤廃し、2人目の出産を容認した。しかし、出生数は17年から5年連続で減少している。21年の出生数は1062万人で、過去最低となった。

 さらに中国当局は、21年5月末、3人目の出産を認める方針を明らかにした。同時に、若者の結婚・恋愛観の教育指導の強化や教育費の軽減、住宅購入支援を強化する考えも示した。

 しかし、国民の受け止めは冷ややかだ。発表直後に、国営新華社通信がSNSで「3人目の予定はあるか?」とのアンケートを実施したが、「まったく考えない」との回答が約9割に達した。

少子化対策失敗で、高齢化がより深刻に

 中国は、過去の人口増や政府の手厚い財政支援などを背景に急速な経済成長を続けてきた。しかし、少子化に歯止めがかからなければ、今後は社会保障負担や個人消費、労働力など様々な面に影響が及ぶことは避けられない。

 市場では今後中国のGDP(国内総生産)が米国を逆転しても、人口減を受け、2040~50年代に再逆転され、「世界一」は短期間で終わるとの見方も多い。

 

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