2022年12月号掲載

キャリアをつくる独学力 プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント

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著者紹介

概要

激変する時代を生き抜くには、自律的な学びが欠かせない。答えのない課題に自分なりの考えを示せる、個別の経験から普遍的な学びを導き出せる…。こうした力は、自ら主体的に学ぶ「独学」でこそ鍛えられる。では、具体的にどう学びを進めればよいのか。キャリア論の第一人者が、成長し続ける人の“学び方”を徹底解説する。

要約

「キャリア」「仕事」「学び」の自律性

 いま日本では、仕事のあり方や働き方、求められる人材像やキャリア形成をめぐり、変化が起きている。その変化に対応していくには、自ら主体的に学ぶ「独学力」が不可欠である ―― 。

「タテ社会」「安心社会」の限界

 人事制度において、欧米の企業の多くが「ジョブ型」であるのに対し、日本の企業の特徴は「メンバーシップ型」であるといわれる。

 一般的に、職務を明確にして成果評価を行うのがジョブ型である。一方、メンバーシップ型は、職務を限定せずに採用し、異動や転勤を繰り返しながら経験を積ませ、人材を長期的に育成していく雇用の形態である。社員は、職務ではなく、組織への帰属が求められる。

 このメンバーシップ型雇用の本質は「タテ社会」と「安心社会」にある。

 「タテ社会」とは、社会人類学者の中根千枝さんが提起した概念である。日本の場合、家、会社などでは、それぞれ親・子、上司・部下といった、上下の序列の差がきわめて重要な機能を持つタテ社会であると、中根さんは看破された。

 また、「安心社会」とは、閉鎖的な集団主義社会で、その中に所属していれば社会のシステムが安心を保証してくれる社会である。終身雇用や年功序列といった日本式経営を続けてきた企業は、まさに安心社会だった。

 一方、アメリカなどは「信頼社会」である。開放的で、他者と信頼し合い、協力関係を構築することで成り立つ社会だ。開かれた人間関係の中で多様な人々と信頼関係を結び、関係性を広げていくため、常に外での機会を取り込む必要がある。

 日本ではこれまで、多くの業界業種が「タテ社会」で「安心社会」という特有の構造を強みにすることで成長してきた。しかし、テクノロジーの革新などにより、ビジネスモデルが根底から変わり、この強みが無力化する事態に直面しつつある。

個人主導による柔軟な「学び」「仕事」「キャリア」

 「キャリア自律」というと、「自分に向いた仕事につく」というキャリア選択を想起するかもしれない。しかし、いま個人に本当に求められているのは、「学び方改革が生み出すキャリア自律」である。重要なのは「仕事自律」と「学び自律」を相互に関連させながら回していき、結果として「キャリア自律」が実現する、ということだ。自分に向いている仕事につくというより、自分に向いているように仕事をする。

 仕事の仕方も学びの仕方も、「自分らしさ」の連鎖により、結果的に自身のキャリアが出来上がっていくことが大切なのである。

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