Speed&Scale　スピード・アンド・スケール　気候危機を解決するためのアクションプラン

計画を示そう

　人類による野放図な温室効果ガスの排出によって、地球温暖化は急激に進んでいる。もはや、温室効果ガスの放出量を劇的に減らす以外に、生態系の崩壊を食い止め、地球が居住不可能な惑星になるのを食い止める手立てはない。

　2100年に向けた厳しい予測を見てみよう。

　様々な研究によると、地球の温度が4℃上昇すると、南半球を中心に世界経済に破壊的影響が起こる。しかも、収束することはない。

　しかし、このような警告を聞いても、大方の人は動き出すことはない。80年先の予測など、人間の脳が理解するには遠すぎる。たかだか2～3℃温暖化が進むと言われても、深刻なことには思えない。これが最大の障害なのだ。

気温上昇を抑えるために必要なもの

　壮大な計画を遂行するためには、明確で測定可能な目標が必要だ。本書では「気温上昇を1.5℃以下にとどめる」というターゲットを掲げ、それに到達するためのシナリオを設定した。気候災害を回避できる可能性が最も高くなるシナリオだ。

①交通の電化

ガソリンやディーゼル・エンジンをプラグイン式の電動自動車、トラック、バスに転換する。

②電力の脱炭素化

化石燃料から太陽光、風力など排出ゼロの電源に転換する。

③食料の見直し

炭素を豊富に含んだ表土の回復、施肥の改善、牛肉の消費を減らす、食品廃棄を減らす。

④自然保護

森林、土壌、海洋への介入と保護。

⑤産業をクリーンにする

すべての製造業での劇的な排出削減。

⑥炭素除去

大気中の二酸化炭素の除去と長期的貯留。