2023年3月号掲載
米国防総省・人口統計コンサルタントの 人類超長期予測 ――80億人の地球は、人口減少の未来に向かうのか
Original Title :8 BILLION AND COUNTING (2022年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2022年12月6日
- 定価1,980円
- ページ数379ページ
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著者紹介
概要
出生・死亡・移動。人口動態の変化が、政治や経済、社会を変えていく ―― 。米国防総省・人口統計コンサルタントが“人口”という観点から、人類の未来を見通した。格差拡大や少子高齢化、移民問題など、いま世界が直面している課題は、今後どうなるのか。各種データを駆使して予測し、良き未来とするための道筋を示す。
要約
超長期の世界を見つめる人口統計
西洋紀元が始まった西暦1年には、約3億人が地球上に暮らしていた。それから10億人に達するまでには、1800年ほどの年数がかかった。
だが20世紀になると、たった100年で、世界人口は16億人から61億人へと爆発的に増加した。
この問題の核は、指数関数的な人口の増加ではなく、格差の拡大にある。最富裕国と最貧困国の間に、過酷なまでの格差が広がっているのだ。
このような人口の推移は、今、世界が直面している課題の一部を理解する手がかりになる。人口の推移を理解すれば、暴力と平和、弾圧と民主主義、貧困と繁栄といったものの力学が、地球規模でどう作用するのかを把握しやすくなる。
出生率:拡大する格差
例えば、出生率は、国によってどれほどの差があるのか?
後発開発途上国では、1分間に約240人の新生児が生まれているが、先進国ではわずか25人だ。
ナイジェリアの大都市ラゴスは、人であふれている。同国の人口の半数以上が子どもや10代の若者だ。スンニ派過激組織ボコ・ハラムの活動拠点でもあるナイジェリアは、人口が若く、出生率も高いため、2050年には米国の人口を上回り、現在の2倍の4億人を超えると見込まれている。
世界人口は21世紀も増え続けるが、その増加の98%はナイジェリアのような途上国で起こる。
世界の難題の裏に人口がある
9000万人近い人口を抱えるコンゴ民主共和国では、人口が年に3%以上増えている。国民1人当たりGDP(国内総生産)はわずか580ドルにすぎず、2019年だけで167万人が難民となった。
アフガニスタンの人口は、米国の侵攻が始まった2001年には2100万人だったが、2020年には3890万人へと激増した。85%も増えたのだ。
人口の増加それ自体は悪くはないのだが、大勢の人々を受け入れる余裕がなければ、社会に負荷がかかり、国民は苦しむことになる。