2023年3月号掲載

習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン

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著者紹介

概要

2022年10月、中国共産党は党大会後に、新たな指導部“新チャイナ・セブン”を選出。そして習近平政権は異例の「三期目」に突入した。なぜ、二期10年の慣例を破り、習は続投したのか? 中国に生まれ、現代中国をよく知る著者が、彼の真の狙いを解説。決断の背景には、「父の仇を討つこと」「アメリカとの関係」があるという。

要約

習近平と新チャイナ・セブン

 2022年10月16~22日、中国共産党第20回党大会が開催された。23日には、第1回中央委員会全体会議が開かれ、中国共産党の最高指導部である“新チャイナ・セブン”(中共中央政治局常務委員)が選出された。

 習近平以外に選ばれたのは、李強、趙楽際、王滬寧、蔡奇、丁薛祥、李希の6人だ。そして、習近平政権が三期目に入った。

新チャイナ・セブンと習近平との近さ

 新チャイナ・セブンの顔ぶれを見ると、王滬寧以外はみな、習近平や彼の父・習仲勲と関係のある人ばかりだ。

 李強、蔡奇、丁薛祥は、習近平と共に仕事をしている。趙楽際は父・習仲勲と同じ陝西省の人で、李希は習仲勲が最初にクーデターを起こした甘粛省両当県生まれだ。

 趙楽際は陝西省の訛りが直らなかった人で、それゆえに北京では言葉が聞き取りにくいことから中央での仕事で声が掛からなかった。だが、習近平は逆にその「陝西訛り」が気に入って重用した。父への思いがどれほど深いか、想像がつくだろう。

習近平は最初から三期目を狙っていた

 毛沢東や鄧小平時代を別として、江沢民政権以降は、中国の国家主席の任期は一期5年、最大二期10年と憲法で決められていた。そのため、政権二期目の国家副主席(中共中央政治局常務委員)が、次期政権の国家主席になるというルールで動いてきた。

 この慣例に従えば、習近平政権二期目では、誰かが中共中央政治局常務委員の身分で「国家副主席」に入っていなければならなかった。政治局常務委員でなかったら、その次の政権の国家主席にはなれないからだ。

 しかし、国家副主席に任命された王岐山は、常務委員ではなかった。このことからも、2023年3月の全人代(全国人民代表大会)で、国家主席になる人物は「習近平以外」には想定していなかったことがわかる。今般の新チャイナ・セブンの中には、国家副主席になる人はいそうにもないので、特に大きな事件でも起きなければ、習近平の四期目もあると考えた方がいい。

三期目を狙った理由①父の仇討ち

 習近平は、なぜ三期目を狙ったのか?

 習近平の父・習仲勲は、毛沢東に非常に可愛がられ、毛沢東は彼を後継者の1人に考えていた。だが、野心の強い鄧小平が様々な陰謀を働かせて習仲勲を冤罪により失脚させ、16年間も投獄・軟禁・監視の生活を強いて、政治生命を奪った。

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