2023年3月号掲載

ゆるい職場 若者の不安の知られざる理由

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著者紹介

概要

仕事がゆるくて辞めたい。そう悩む若者が多いことが、リクルートワークス研究所の調査で判明した。労働時間は減少、負荷は高くなく、上司からの叱責もない「ゆるい職場」が、逆に彼らの不安感を高めているというのだ。こうした職場が若者の不安をあおる理由、企業がとるべき対応策などを、データを示しつつ解説する。

要約

若者はなぜ会社を辞めるのか

 「若手が突然転職しますと言ってくる」「若い連中が何を考えているのかわからない」…。こうした課題を抱えている企業は少なくない。

 若者はなぜ会社を辞めるのか?

 この疑問については、これまで「仕事がきつくて辞めていく」と理解されてきた。だが、調査の結果、「仕事がゆるくて辞めたい」と思っている若者が多数存在していることが明らかになった。

 どういうことか。調査の結果を紐解いていこう。

若手を取り巻く職場環境の変化

 大手企業の新卒正規社員(入社1~3年目)を対象に行われた調査によれば、労働時間は入社年を追うごとに減少傾向にある。1999–2004年卒(就職氷河期世代)の週49.6時間から、2019–2021年卒では週44.4時間へと減少していた。

 そして、労働の「負荷」感については、以下の分類で検証した。

  • ①量負荷:「労働時間が長いと感じる」「仕事の量が多いと感じる」
  • ②質負荷:「自分が行う業務が難しいと感じる」「新しく覚えることが多いと感じる」
  • ③関係負荷:「人間関係によるストレスを感じる」「上司・先輩の指導が厳しいと感じる」

 調査では、3種類全ての負荷が入社年を追うごとに低下している傾向が見られる。中でも量負荷や関係負荷の減少幅が大きい。

 また、2019–2021年卒のうち25.2%が、一度も「叱責」されたことがないと回答している。

 このように、仕事の負荷が低く、職場の風通しも良いと認識している新入社員が増えているのだ。

好きなのになぜ辞めるのか

 職場がゆるくなっているにもかかわらず、新入社員の退職率は低下していない。なぜか。その1つの理由を示すデータがある。若者の「不安」が高まっているのだ。

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