2023年6月号掲載

聖書がわかれば世界が見える

聖書がわかれば世界が見える ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

世界三大宗教の1つ、キリスト教。世界人口の約3割を占めるとされる信徒の動向は、国際情勢に与える影響も大きい。世界を理解する上で、知っておきたいこの宗教について、池上彰氏がわかりやすく説く。世界宗教への発展の契機となった「宗教改革」、イスラム教徒らを虐殺した「十字軍」など、その光と闇の歴史が語られる。

要約

世界に広がるキリスト教

 国際情勢を理解する上で、『聖書』の知識は必須である ―― 。

ローマ帝国で信者が増大

 キリスト教が世界に広がるきっかけは、ローマ帝国の国教となったことである。

 イエスが誕生する前の古代ローマは共和制をとっていた。しかし、紀元前27年に共和制から帝政に移行する。2世紀には「五賢帝」と呼ばれる賢い皇帝が5代続き安定した時代が続いた。その後、ローマ帝国は軍団を率いた軍人皇帝の時代を迎えると、内戦や政治的対立で混乱が続く。

 この混乱の中で、人々の心を掴んだのがキリスト教だった。ユダヤ教から生まれたキリスト教は、ユダヤ人だけではなく、「異邦人」、つまりローマ帝国に暮らす人々にも布教をした。こうして各地に、キリスト教徒の共同体が形成されていく。

 一方、混乱が続くローマ帝国内では格差が広がる。社会の底辺に位置する人々は、キリスト教に救いを求めた。信者たちは互いに助け合って暮らすようになる。だがそれは、キリスト教徒以外からは、まるで秘密結社のように見られてしまう。

 その結果、キリスト教徒に対する迫害が始まる。

感染症がキリスト教を広めた

 そんなキリスト教がローマ帝国内で広く普及するきっかけとなったのは、感染症だった。マルクス・アウレリウス・アントニヌスの治世に発生した流行で、1000万人近い人が死亡。この時、多くの人はキリスト教に救いを求めた。キリスト教徒は、悪疫の荒れ狂う最中でも病人の看護をしたからだ。それがキリスト教を強化することとなる。

 皇帝コンスタンティヌス大帝は、313年、キリスト教の迫害を止めて、キリスト教を容認した。その後、キリスト教の信者になる皇帝も出るようになり、キリスト教は市民権を得る。

 広大な地を支配したローマ帝国の国教となったことで、キリスト教はヨーロッパ各地に広がり、「世界宗教」へと発展していくのである。

 

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

沈黙の春

レイチェル・カーソン 新潮社(新潮文庫)

世界から戦争がなくならない本当の理由

池上 彰 祥伝社(祥伝社新書)

ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か

水島治郎 中央公論新社(中公新書)

「世間」とは何か

阿部謹也 講談社(講談社現代新書)