2023年8月号掲載
アナロジー思考
著者紹介
概要
「アナロジー」(類推)とは、複雑な事象に潜む本質的構造を見抜き、別分野に応用すること。何かを学ぶ時や、新しいアイデアを生み出す時に役立つ。本書は、誰もが無意識に使っている、この思考法の全容を、具体例を交えて解説。そのメカニズムを「原理」にまで踏み込んで説くとともに、アナロジー思考力の鍛え方を紹介する。
要約
アナロジーとは何か、なぜ重要なのか
「アナロジー」とは、複雑な事象に潜む本質的構造を見抜き、別分野に応用することである。
アナロジーとは「比例関係」のこと
アナロジー思考は、誰でも必ず使っているものの考え方である。日本語でいえば「類推」。文字通り、「類似のものから推し量る」ということだ。
まずは、アナロジーの基本的なイメージをつかんでもらうために、簡単なクイズから始めよう。
「?」に当てはまる言葉は何か。答えは赤だ。
では、この推論のメカニズムを考えてみよう。「牛乳:白」という2つの言葉を見て、頭の中で、白は牛乳の色という関連付けができる。
次に右側を見ると、「牛乳」に相当するのがトマトジュースだから、物体の「色」を表す「赤」という解答が導き出せる。
以上がアナロジーの基本形といえる。つまり、もともと知っている領域(ベース)を基にして、類似の関係にある対象領域(ターゲット)に関する知見を推論するというものである。
ビジネス場面でのアナロジーの「3つの目的」
アナロジーのビジネスにおける目的や効用として、次の3つが考えられる。