2023年9月号掲載

桁違いの成長と深化をもたらす 10X思考

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著者紹介

概要

「異次元の成長」を実現するカギは、“思考法”だ! 分析力に優れるロジカル・シンキング、想像力を駆使するデザイン・シンキング、そして世界を複雑系として捉えるシステム・シンキング…。様々な思考の技術を生み、さらに広がり続ける“知”の最前線を解説する。新時代を切り拓く人財になるための、思考の手引書だ。

要約

広がり続ける思想の地平

 古来、人間は様々な思考法を編み出してきた。それらの本質をよく見ると、それぞれの時代の要請と思考の進化を反映している。

 20世紀後半は「ロジカル・シンキング」のような問題解決型の垂直思考が幅をきかせた。その担い手として活躍したのが、コンサルタントだ。

 21世紀に入ると「デザイン・シンキング」のような機会発見型の水平思考が注目された。そこでは、華やかなクリエーターたちが脚光を浴びる。

 一方、そのような表層的な流行の底流で、世界を複雑系として捉える「システム・シンキング」が進化し続けていった。

桁違いの成長を生み出す「10X思考」

 21世紀には、デジタルパワーが長足の進歩を遂げ始めた。AI(人工知能)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)などによって、世界では「旧来の延長線上にある成長」から「異次元の成長」へと移行が進んでいる。「10X(テンエックス)」と呼ばれる現象だ。10倍化、すなわち、桁違いの成長を意味する。

 この10X化を生み出すのが「10X思考」だ。その複雑な内部構造を紐解いてみると、実は20世紀型思考を編集し直したものであることに気づく。

 身体にたとえると、わかりやすい。ロジカル・シンキングの分析力とデザイン・シンキングの想像力が、左脳と右脳のように頭脳の両側で回り続けている。この両者をつなぎ、さらにそれらと身体を結びつけるのがシステム・シンキングだ。

我々の思考は何を拠り所とすべきか

 一方、デジタル技術の進展によってWeb3と呼ばれる自律分散型の新しい世界が脚光を浴びている。そのバーチャルな世界とリアルの世界が融合していくと、我々は多数の分身(アバター)を演じなければならなくなる。メタ(超)バース(世界)どころか、マルチ(多層)バースの世界が広がり、未来も過去も同時性の中に溶け込んでいく。

 そのような未来に向けて、我々の思考は何を拠り所とし、どこに向かうべきなのか? その答えを先取りすれば、これらすべての思考法を習得し、不要なものは捨て、さらに広がり続ける思想の新地平を貪欲に取り込み続けることしかなさそうだ。

 

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