2023年12月号掲載
本を読む本
Original Title :HOW TO READ A BOOK (1940年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日1997年10月10日
- 定価1,177円
- ページ数265ページ
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著者紹介
概要
約80年前、1940年に米国で出版された書。以来、版を重ね、世界各国で翻訳され、多くの人に読書のあり方を示してきた。読み書きのできない子供の「初級読書」のレベルから、論点を明確にし、分析・整理する最終レベルまで。単に知識を得るのではない、自分の頭でものを考え、自らを高めるための読書法が、わかりやすく説かれる。
要約
読書の目的
読書家とは、情報や知識を主として活字によって得る習慣のある人のことである。昔のインテリはたいてい、この意味で読書家だった。
現代のマス・メディアは、頭を使わせない
ところが、最近、読書は昔ほど重視されない。ラジオやテレビは、かつて活字が果たしていた機能を肩代わりしようとしている。しかし、これらのマス・メディアは、私たちが物事を深く理解するという点で、果たして本当に役立っているかといえば、大いに疑問である。
今の私たちは、世界について昔より多くを知ることができる。だが、現代人は情報の洪水の中でかえって物事の正しい姿が見えなくなっている。
なぜか? 理由の1つは、現代のマス・メディアが、自分の頭でものを考えなくてもよいような仕掛けにできていることだ。私たちは、テレビやラジオから、情報や意見の知的パッケージを受けとっている。そこには気のきいた言い回し、選び抜かれた統計などが整えられていて、私たちはいながらにして「自分の判断を下す」ことができる。
だが、この知的パッケージがよくできすぎていて、自分の判断を下す手間まで省いてくれるので、視聴者は全く頭を使わなくても済んでしまうのだ。
「読む」ことは「学ぶ」ことである
知識を得るのも、わからなかったことがわかるようになるのも、「学ぶ」ことには違いない。しかし、この2つの「学び」には大きな違いがある。
知識を得るためなら、単に事実を知るだけでよい。「教わる」ということは、なぜそうなるのか、さらに詳しく知ることである。
この違いは、何かを記憶することと、それが説明できることとの違いを考えればよくわかる。著者が述べたことを思い出せれば、何かを学んだことにはなる。だが、それは単に知識を得ただけだ。著者の述べたことだけではなく、その意図や理由を理解して初めて、何かを教えられたことになる。
「教わること」は、話し手や書き手から学ぶことである。しかし、人に教えてもらわなくても知識を得ることはできる。それには自分で「発見」しなくてはならない。他力本願ではなく、自分で研究し、熟考して学んでいく過程が必要である。
「初級読書」と「点検読書」
読書には、4つのレベルがある。最初のレベルは「初級読書」である。これは、読み書きのできない子供が初歩の技術を習得するためのものだ。