2024年11月号掲載
顧客体験と従業員体験の好循環をつくる エクスペリエンス・マインドセット
Original Title :THE EXPERIENCE MINDSET:Changing the Way You Think About Growth (2023年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2024年9月10日
- 定価2,750円
- ページ数310ページ
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著者紹介
概要
顧客への対応に力を注ぐあまり、従業員に負担をかけるやり方は企業の成長を妨げる。企業が成長するカギは「顧客体験(CX)」とともに「従業員体験(EX)」も向上させること。「エクスペリエンス・マインドセット」は両者を同時に強化し、最大限活用するものだ。その利点と方法を、各種事例を交えて詳しく解説する。
要約
顧客体験(CX)
会社を成長させるには、バランスの取れたやり方で、「顧客体験(CX)」と「従業員体験(EX)」の両方を底上げしなければならない。
高い顧客体験と従業員体験を実現している企業は、それらが低い企業に比べ、3年間の年平均成長率がほぼ2倍となっている。バランスを取ってCXとEXを並行して改善すれば、企業は幾何級数的に成長できるのだ。
優れたCXの特徴
優れたCXを実現するために企業がすべきこと。それは、例えば、次のようなものである。
・効率化
商品やサービスを購入する際に、顧客が費やす時間と労力を最小限にする。
・個別化
顧客の名前や購入履歴などについて、従業員が確実に記憶しているようにする。
・柔軟性
オンライン、オフライン問わず、顧客の望む形で購入や連絡ができるようにする。
これらは、いずれも要は「顧客の労力を減らす」ためのものだ。顧客の労力を減らせれば、企業ブランドに対する顧客体験を向上させ、顧客のロイヤルティを高めることができる。
CXのジレンマ
だが、企業がCXを向上させ続けることで、あるジレンマが生じる。
例えば先週、私はアマゾンで商品を注文した。その日のうちに商品が出荷され、翌日の午後10時前には商品が配達されると通知が届いた。
私たちの祖先から見たら、アマゾンの小売り形態は奇跡のようだろう。しかし、それに慣れた私たちから見れば、そこに問題が隠されている。
午後10時までに届くとされた商品が翌朝午前9時に届いたら、期待を裏切られた私はアマゾンに失望する。たった一度の遅配で完全にアマゾンを見限ることはないが、期待を上回る他の企業が現れたら、そちらを試してみようとするだろう。