2024年12月号掲載

従属の代償 日米軍事一体化の真実

最新号掲載 従属の代償 日米軍事一体化の真実 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

日本も含め、東アジアは激しいミサイル軍拡競争の時代に突入する! 安全保障専門のジャーナリストが、戦争の危機が高まっていると指摘。日本が進める自衛隊の軍備強化や米軍との一体化、台湾有事を想定した米中の軍備増強の実態などを語った。今の状況が続けば、核戦争という“最悪のシナリオ”もあり得ると警鐘を鳴らす。

要約

南西の壁

 台湾海峡の緊張激化、中国とロシアの関係強化など、日本を取り巻く安全保障環境は、第二次世界大戦後、最も厳しいものになっている。

 そんな中、日本政府は米国と行動を共にすることで、この状況を乗り切ろうとしている。防衛の現場を取材していると、自衛隊の軍備強化と米軍との一体化が猛スピードで進んでいるのがわかる。

「南西の壁」が完成

 防衛省は2024年3月、沖縄本島に地対艦ミサイル部隊を配備した。南西諸島への配備は、奄美大島、宮古島、石垣島に続いて4つ目だ。

 背景には、中国の海洋進出と尖閣諸島周辺での活動の活発化があった。中国は2006年から、尖閣諸島周辺を含む東シナ海でパトロールを開始。2008年には、海洋調査船2隻が初めて尖閣諸島周辺の日本領海に侵入する事案が発生する。

 こうした動きを受けて、陸上自衛隊の中で南西諸島防衛の必要性が強く認識されるようになった。

 南西諸島の島々に地対艦ミサイル部隊を配備すれば、中国の侵攻部隊を乗せた艦艇の接近を阻むことができる。ミサイルの壁で中国の侵攻をブロックすることから、「南西の壁」と名付けられた。

米軍が危機感を強めた中国の接近阻止能力

 「南西の壁」構想が生まれた2010年頃、米国でも中国に対する警戒感が強まっていた。米国が最も警戒していたのは、中国の「接近阻止・領域拒否」(A2/AD)と呼ばれる能力の強化である。

 A2/AD能力とは、有事の際に米軍の戦域へのアクセス(接近)や行動の自由を阻害し、米国の軍事介入を拒否する能力を意味する。

 そんな中、2012年に米海軍大学の教授らが、南西諸島全体に地対艦ミサイル部隊を配置すれば、中国軍の台湾への攻撃、米軍の台湾接近を妨害する行為などを阻止できるとする論文を発表。「南西の壁」は台湾有事でも使えると主張した。

 米国の安全保障専門家らの提言は、やがて米軍の戦略に正式に採り入れられる。その結果、南西諸島の防衛が目的だった「南西の壁」が、台湾有事で米軍が優位に戦うための「盾」に変質した。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

世界から戦争がなくならない本当の理由

池上 彰 祥伝社(祥伝社新書)

リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義

渡辺 靖 中央公論新社(中公新書)

人間はなぜ戦争をやめられないのか 平和を誤解している日本人のために

日下公人 祥伝社

消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし

ケンジ・ステファン・スズキ 角川SSコミュニケーションズ (角川SSC新書)