2025年3月号掲載

健康食品で死んではいけない

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著者紹介

概要

副作用がなく、安全に健康を手に入れられる ―― 。「健康食品」には、そんなイメージがある。しかし、実際はいいことばかりではない。使い方や選択を誤れば、最悪の場合、死にいたることも。その危険性について、食品安全の分野を牽引する著者が、様々な事例を挙げて解説。そして、健康食品との上手な付き合い方を語る。

要約

身近な健康食品の怖い一面

 「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」と言われるほど、健康食品は我々の生活に浸透している。読者は健康食品に、医薬品のような副作用がなく、安全に健康への願望をかなえてくれそうなイメージがあるのではないか。

 しかし、現実はいいことばかりではない。

二日酔い防止のウコンでまさかの肝障害

 例えば、ウコンといえば肝臓に効く健康食品だと思っている人が多いだろう。ウコンに含まれるクルクミンが、胆汁の分泌を促進し肝機能を改善する効果があることから「二日酔い防止」の健康食品として販売されている。

 しかし日本肝臓学会は、肝障害患者がウコンを摂取し始めて3カ月後に死亡した例などがあることから、2003年に全国的な調査を行うことにした。その結果、肝疾患の人が摂取した場合、かえって悪化することが明らかになった。

 肝臓は種々の栄養素や化学物質を処理する化学工場のような臓器だ。ウコンの成分は、肝臓の調子がよい時ならその調子をアップさせる。反対に、調子が悪い時にウコンの成分が送り込まれれば、肝臓の処理能力を超え、負荷になってしまうのだ。

健康食品に内在する問題点

 確かにウコンは、インドや中国の伝統医学で古くから用いられている。そして肝機能改善効果が確認されると、食品だから安全という多くの人の意識もあり、健康食品として世に出てきた。

 いったん健康食品としての市場価値を得ると「肝臓によい」という言葉が独り歩きし、やがては「肝臓病にもよい」となった。そこで肝臓に問題のある人までが摂取し、事故が発生した。

 ウコンをはじめ健康食品は医薬品と異なり、その効果のメカニズムや、どれほどの量をどのタイミングでどんな人が摂取したら効果があるのか、副作用はないのか、ということが系統的に調べられていない。多くの人が摂取して初めて問題点が出る。常識的に大丈夫だと考えられている健康食品は、こうした問題を内在している可能性がある。

効果のある健康食品の裏側

 健康食品として販売するにはあまりにも効果が弱いので、業者が表示をせずに医薬品、それも未承認の医薬品を混入させているケースがある。

みるみるやせるダイエット食品

 その1つが、ダイエット健康食品だ。問題のある商品は「好きなだけ食べてもやせられます」をうたい文句に、販売されているものが多い。

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