2025年4月号掲載
他人を支配したがる人たち
Original Title :IN SHEEP’S CLOTHING:Understanding and Dealing with Manipulative People (1996年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2014年10月8日
- 定価880円
- ページ数251ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
うわべは“いい人”。だがそれは、悪巧みを隠す仮の姿。自分の望みを果たすために、人の心を巧みに操り、支配しようとする…。そんな人格の持ち主を「潜在的攻撃性パーソナリティー」と名付けた臨床心理学者が、彼らの特徴やその攻撃から身を守る術を解説する。1996年に米国で刊行後、世界各地で読み継がれるロングセラー。
要約
誰も気づかない「攻撃性」
「応援するよ」と励ましながら、部下の昇進を握りつぶす上司。上役の歓心を買うために、密かに仲間を陥れようとする同僚…。
人の心を操り支配しようとする者は、うわべは穏やかだが、その素顔は悪知恵にあふれ、相手に対して容赦がない。こうした人格の持ち主を、私は「潜在的攻撃性パーソナリティー」と呼ぶ。
攻撃性の2つのタイプ
かつて精神医学者のアルフレッド・アドラーは、「人間には、社会的な優越性を限りなく追い求めてやまない一面がある」と言った。彼が指摘する通り、人は公私にわたる優位性を勝ちとるため、権力や名声、地位を求めて争い、攻撃し、しのぎを削っている。
そして、その攻撃行動は基本的に2つのタイプに大別することができる。
・顕在的攻撃性
自らの目的を定め、その実現に向けて明白な態度で人と競い合う。
・潜在的攻撃性
勝つことに執着し、手段は選ばず、その意図を隠すために人をあざむく。
現実の社会では、攻撃の意図を隠し、それでいて相手を威嚇しながら屈服を強いるような後者の行為は、極めて高い成果をもたらす。
「冷酷を極める人格」は確かに実在する
時に、人は潜在的攻撃性のような行為におよんでしまうことがある。とはいえ、だから私たちも潜在的攻撃性パーソナリティーだとは言えない。
人のパーソナリティーとは、その人が他者や世界をどのように受けとめ、どのように関わっているかによって定義されるものだ。
それは、様々な状況において、その人がどんな関係を他者と築こうとしているか、あるいは生きていく上で自分が要求するものをどうやって手に入れるのかという、その人独特の関わり方の“スタイル”である。
しかし、パーソナリティーの中には、人間関係において冷酷を極めながら、そうした攻撃性を隠したり、あるいは自信に満ち、一見抗し難い魅力を放っていたりしているタイプが存在する。それが、潜在的攻撃性パーソナリティーなのだ。