1995年1月号掲載
凡事徹底 平凡を非凡に努める
- 著者
- 出版社
- 発行日1994年11月10日
- 定価1,100円
- ページ数163ページ
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著者紹介
概要
鍵山秀三郎氏は、1961年にローヤル(現・イエローハット)を創業、自転車での行商から始めて、同社を大きく成長させた。その氏が創業以来続けてきたのが、会社やその周辺の「掃除」である。掃除のような平凡なことをおろそかにせず、徹底して行うこと、すなわち「凡事徹底」こそが、非凡な力を生む ―― こう語る氏が、自らの人生哲学を披露する。
要約
凡事徹底
世の中の人は誰でも、特別になりたい、人より抜きん出て特別な人生を送りたい、と思っている。
しかし、間もなく還暦を迎えるこの年まで人生を送ってきて、世の中に特別なこととか特別なものは何もない、とつくづく思う。
そのことを福沢諭吉先生は、「鄙事多能」と言っておられる。
鄙事、つまり普通の人々が雑事と片づける細々としたこと、例えば、朝起きたら布団を畳む、家の前を掃くといった身辺の雑事に対して、いつも多能で、器用でなければいけないと教えている。
簡単なこと、単純なことを極めていく
私も鄙事を徹底して今日までやってきたが、それが結果としては大変大きな力を持っていることをつくづく感じる。
これは、やれば誰にでも簡単にできることを徹底して、その中で差をつけるという考え方だ。
ところが、簡単なことをやるというと、「そんなことをやっていたのでは人に遅れてしまう。この競争社会の中で勝っていけない」というふうに思って、バカにしたり、おろそかにする人が多い。
だが、そうすることが自分の人生をおろそかにすることにつながり、結果的に10年たっても20年たっても本当の意味での進歩につながらない。
例えば、最近のように不景気だ、不景気だとテレビや新聞ではやし立てるようになると、商売をしている人はどうするか。
50%オフ、70%オフという札をデカデカと張って商売をするようになる。値段を安くしなければ売れないと思ってしまう人が多く、また、今、店にあるものでは売れないから、新しい商品を仕入れようと考えて、売れそうな商品はないかと鵜の目鷹の目で探し歩くようになる。
私は、新製品を求めるより、むしろ今まであった商品を新しい売り方で売るという考え方でやってきた。