2002年8月号掲載
なぜ、働くのか 生死を見据えた「仕事の思想」
著者紹介
概要
「なぜ、働くのか?」という根源的な問いから、思想について考えた1冊。「死生観」「世界観」「歴史観」の3つから仕事を見つめ直し、深い覚悟に裏づけされた「思想」を持つことで、仕事に対する迷いがなくなると、著者は指摘する。いわば「なぜ働くのか」という問いをもとに、自分の人生観を見つめ直すきっかけともなる内容である。
要約
仕事の思想
日々、仕事を行う上で、人には「思想」が必要となる。なぜなら思想は、「現実に流されないための錨」になるからだ。
ビジネスに取り組んでいる限り、人には日々、“現実”という名の激しい荒波が打ち寄せてくる。そして、その荒波に必ず流される。
いつしか、日々の仕事に目を奪われ、狭い世界しか見えなくなってしまう。そうして走り続けていると、時折、迷いに襲われる。自分がやりたかった仕事はこの仕事だったのか、と。
その時、何かを見失ってしまっているような気持ちになる。だからこそ、現実に流されないための錨、すなわち深い「覚悟」に裏づけされた「思想」が必要になるのだ。
では、どうすれば、その深い覚悟と思想を身につけることができるのか?
そのためには、次の「3つの原点」から、自分のやっている仕事を深く見つめることが必要になる。
「死生観」:「生死」という深みにおいて観る。
「世界観」:「世界」という広さにおいて観る。
「歴史観」:「歴史」という流れにおいて観る。
「生死」という深みにおいて観る
まず第1の死生観であるが、なぜ仕事というものを、生死という深みにおいて観ることが必要なのか。
過去に優れた仕事を成し遂げてきた経営者を見ると、その多くは若い頃に生死を見つめる体験をし、深い覚悟と思想を得ている。そのことを象徴する、1つの警句がある。