2003年9月号掲載

私はどうして販売外交に成功したか

Original Title :How I Raised Myself From Failure to Success in Selling (1960年刊)

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概要

デール・カーネギーをして「本書を手にするためには、シカゴからニューヨークまででも歩いていく」と言わしめた販売術の名著。プロ野球選手が全米No.1のセールスマンとなるまでの自叙伝でもあり、ドラマチックなエピソードにあふれている。初版は1964年だが、今読んでも新鮮に感じるのは、いつの時代も変わらぬ営業の本質が詰め込まれているからだろう。

要約

野球選手がNo.1セールスマンに!

 口ベタで人見知りの大リーガーが、全米一の成功と高給を得るセールスマンに ―― 。

 この意外な転身は、著者フランク・ベトガー氏がプロ野球選手になってまもなくの頃、チームを突然解雇されたことに始まる。

 「お前はのろまだからクビにする」、これが解雇の理由である。氏は神経質で物怖じするたちだった。試合中も野次やプレッシャーに頭が一杯で、ノロノロとしたプレーしかできなかったのだ。

 地方のリーグに移籍した第1日目、氏は「誰からもノロマだと非難されないようにしよう」と決心した。そしてキビキビした動作で張り切った。

 その結果、まるで魔術のような作用が起きた。熱中したために恐怖心が起こらず、素晴らしいプレーができたのだ。

 当初25ドルだった月給は、10日後には185ドルに引き上げられた。そして2年後にはセントルイス・カージナルスの選手となり、月給も30倍以上になった。技術が上達したわけではない。ただ“情熱”を傾けて行動しただけである。

 しかしその後、氏はケガで野球を断念せざるを得なくなった。そして、故郷に帰って保険会社の外交員となるが、販売に関してはずぶの素人だけに、惨たんたる結果に落ち込む日々を過ごした。

 では、何が失意のどん底にあった氏を立ち直らせ、トップセールスマンへと変えたのか?

営業マンに不可欠な心構えとは?

 物怖じ、人見知りという欠点が、セールスマンとしての生涯も破滅させてしまう ―― そう気づいたベトガー氏は、野球に打ち込んだ時の情熱を、そのまま販売の仕事にもち込んだ。すると、“熱意の魔術”が再び作用し始めたのである。

 具体的に氏は、次のような心構えをもって仕事に臨んだ。

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