2004年2月号掲載
戦略「脳」を鍛える BCG流 戦略発想の技術
著者紹介
概要
“ポーター”を読んだだけでは勝てる戦略は作れない! ── こんな挑発的な言葉が本書の帯に書かれている。では、どうすれば勝てる戦略を立案できるのか? 本書の答えは、「戦略の知識に加えて、プラスアルファの能力“インサイト”が必要」というもの。ボストン・コンサルティング・グループが持つノウハウの中核部分が初めて明かされる!
要約
「勝てる戦略」には何が必要か?
戦略論を学ぼうという人は多い。しかし、戦略論を勉強するだけでは「勝てる戦略」はできない。
「勝てる戦略」を作るためには、アカデミックな勉強だけでなく、ある種の“頭の使い方”を身につける必要がある。
マイケル・ポーターに代表されるアカデミックな戦略論は、企業の勝ちパターンを定量的に分析し、何らかの枠組みとして提示したものだ。
従って、その枠組みを「定石」として学ぶことは「イロハのイ」となる。囲碁や将棋の初心者が、定石・定跡から学び始めるのと同じである。
ただし、定石・定跡を学ぶだけでプロになれるわけではない。経営戦略にも同じことが言える。
そもそもアカデミックな戦略論のほとんどは、企業の過去の成功例を「後講釈で定石化する」ことで成り立っているため、将来の勝ちパターンがそこから自動的に導き出されるわけではない。
誰かが成功パターンを見つけると、すぐにマネされ、その戦い方では差別化できなくなる。すると、別の誰かがユニークな戦い方を考案して、勝ちを収める。
囲碁や将棋の定石と同様、経営戦略も発見・模倣・陳腐化・イノベーションを繰り返すのが特徴で、「定石を超えた戦い方のイノベーション」こそが、戦略の本質なのである。
つまり、戦略論という定石を知った上で、新たな戦い方を作り上げる「プラスアルファの能力」を身につけた者だけが、自らを差別化し、競合優位に立つことができるのである。
この能力をボストン・コンサルティング・グループでは、「インサイト」と呼ぶ。それは「勝てる戦略の構築に必要な頭の使い方、ならびにその結果として得られるユニークな視座」のことである。
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- ユニークな戦略=定石+インサイト
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このインサイトは、「スピード」と「レンズ」の2つの要素から成り立っている。