2018年2月号掲載
世界の一流企業は「ゲーム理論」で決めている ビジネスパーソンのための戦略思考の教科書
Original Title :GAME-CHANGER
- 著者
- 出版社
- 発行日2017年11月22日
- 定価1,980円
- ページ数376ページ
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著者紹介
概要
戦略立案や交渉など、ビジネスに使える「ゲーム理論」を凝縮した書。「コミットする、規制させる、合併もしくは“共謀”する、報復を可能にする、信頼を構築する、関係性を活用する」。ゲームチェンジを図る上で不可欠な、これら6つのアプローチについて、専門用語や数式をできるだけ使わず、事例を交え、わかりやすく説く。
要約
コミットの威力を熟知する
本書は、ビジネスを含む人生のあらゆる側面に応用可能な「ゲーム理論」のアプローチを紹介するものである。
ゲームを変革するための6つのアプローチ
ゲーム理論が最大の威力を発揮するのは、展開されているゲームを認識し、有利なゲームチェンジの方法を考えていくところにある。
ゲームを変革し、自分にとっての戦略的優位にもちこむためのアプローチには、次の6つがある。
-
- ①コミットする
- ②規制させる
- ③合併もしくは“共謀”する
- ④報復を可能にする
- ⑤信頼を構築する
- ⑥関係性を活用する
この中から、いくつかを紹介しよう。まずは、「①コミットする」から ――
優れた武将は、ゲーム理論的戦略を好んで使う
1519年、スペインの征服者(コンキスタドール)エルナン・コルテスは、メキシコでアステカ皇帝モクテスマ2世の軍隊と対峙した。その際、引き連れた軍隊の船の1艘を残し、すべて焼き払う。そして数では圧倒的に負けていたにもかかわらず、みごと圧勝した。
船を1艘残したコルテスは、部下にこう語った。
「ここに残る者は私と運命をともにしよう。意気地がなく、名誉ある偉業のために危険をわかちあう気がない者は、神の名に誓って、故郷へと帰らせよう。まだ船は1艘残っている」
1艘の船を残したのは絶妙な計略だった。部下は、1人1人、残るか否かの選択を迫られたのだ。逃げ帰るのは少数の臆病者である、という要素が強烈な社会的圧力になった。
臆病者にはならないと決断した部下たちは、それならば必ず使命を果たすと強く誓った ―― 心理的に「確約(コミット)」した ―― のだ。
他人に、こちらの望むことをすると確約させる。なんと魅力的な道だろう。コルテスがやったように、相手が採れる戦略の選択肢を変えることができれば、こちらにとって得となる行動を彼ら自身に選ばせ、戦略的優位を勝ち取れるのだ。
エアビーアンドビーが独り勝ちした理由
個人や法人が所有する別荘や住宅を貸し出し、個人がそれを予約して宿泊する「バケーション・レンタル・バイ・オーナー(VRBO)」という制度がある。このVRBO仲介で市場を押さえているのが、ホームアウェイという企業だ。人気サイトを多く運営し、紹介する宿泊先は32.5万軒以上。