2004年4月号掲載
「型はまり経営」のすすめ 時代に左右されないビジネス原則12
Original Title :THINKING INSIDE THE BOX:The 12 Timeless Rules for Managing a Successful Business
- 著者
- 出版社
- 発行日2004年1月26日
- 定価2,420円
- ページ数317ページ
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著者紹介
概要
ふるきをたずねて新しきを知る ―― 。「温故知新」という諺は、ビジネス界にも当てはまるようだ。ITの登場で、世の中が根本から変わるかのように思われたのも束の間、ネットバブルが崩壊したのは記憶に新しい。それは、経済の原則は技術の進歩によって変わることはないという、“原則”を忘れたためだと著者は言う。この原則 ―― 時代を超えたビジネスの「型」を紹介する。
要約
ビジネスには「型」がある!
1990年代、「経済の根本的な変化」と喧伝された現象“ニューエコノミー”を信じたために、手ひどい火傷を負った例は、ドットコム・バブルの崩壊、エンロンの破綻など、枚挙にいとまがない。これらの例をはじめ、歴史を振り返れば、短命に終わったニューエコノミーはいくらでもある。
大切なのは、未来を作り出すには過去への理解が不可欠ということだ。ビジネスには時代を超えた基本的な原則、すなわち「型」がある。成功した企業は昔から、その型を実践して利益を上げてきた。型を知らなければ、型を破ることができない ── 。これはビジネスと人生の鉄則である。
「基本」の型 ── 経済の原則は永遠に変わらない
いかなる経済活動も、その中心には「交換」という概念がある。この概念は、人類が誕生してからずっと存在している。
人類学者のローレンス・ハーシュフェルドは、「ネアンデルタール人は長い距離を移動して交換を行った」と言う。人類の社会的相互関係や経済の出発点は、何かを他人に提供し、その見返りに同じ価値を持つものを受け取ることなのだ。
彼は研究により、小さな赤ん坊でも交換に関心を持つことを証明している。要するに、人間は生まれつきビジネスを行う本能を持っているのだ。
人類の文化は、地域の集団や国家を超えて広がる交換のシステムに支えられている。歴史や社会科学が示すのは、「経済に関しては『全く新しいこと』などはあり得ない」という重要な事実だ。
確かに、技術革新は生活やビジネスに重大な影響を及ぼしてきた。だが、技術の進歩が経済の基本的な運営 ―― 利益のための財とサービスの交換 ―― を変えたことはないし、今後もない。技術と経済を混同して考えてはならないのだ。
しかし、インターネットが「全てを変える」と世間が騒いだ時、人々はこの原則を忘れ、多くの企業が大きな被害を受けた。
基本の型を確立するには、例えば次のような点に留意する。
- ・「経済が根底から変化しつつある」と誰もが考える時期が時折やってくるが、それが本当だったためしはない。
- ・経済の基本原則は永遠に変わらない。
- ・顧客の生活がどう変化しているか、新たに生まれたニーズに対して、新しい製品やサービスでどう対応するかを考えること。
「利益」の型 ── 稼げなければ話にならない
資本主義下の企業にとっては、利益が全てである。この原則には誰も異論をはさむ余地はない。
1998年、オンラインのペット用品販売事業に進出したペッツ・コムは、この原則を無視したために失敗した。