2004年7月号掲載
コトラーのマーケティング思考法
Original Title :LATERAL MARKETING:New Techniques for Finding Breakthrough Ideas
- 著者
- 出版社
- 発行日2004年5月6日
- 定価1,980円
- ページ数221ページ
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著者紹介
概要
創造的思考に関する世界的権威エドワード・デボノ博士は、アイデアを創出するには水平的に思考するのがよいと説いている。この水平思考を活用して、新商品を生み出す「ラテラル・マーケティング」の枠組みを、マーケティングの大家フィリップ・コトラー教授が解説する。アイデアを生み出すまでの手順が具体的に説明されており、実践的なものに仕上がっている。
要約
市場は飽和状態に陥っている!
今日、新製品を市場投入しても、そのほとんどが失敗に終わってしまう。新製品の投入は、なぜこれほどまで困難になってしまったのか?
その原因の1つは、顧客ニーズを満たす製品がほぼ出回っている現在のような状況では、従来のマーケティング戦略が有効に機能しなくなってきているからである。
従来のマーケティングは、製品やサービスが満たすべきニーズを特定し、潜在市場を定義することから始まった。
市場の定義には、自社の競争領域が明確になるというメリットがある。だが、市場を定義すると、対象が自社製品でニーズを満たせる顧客や状況に限定され、それ以外の市場が排除されてしまう。
例えば、通常我々はヨーグルトを、「空腹を満たす」製品と捉えている。そのため、ヨーグルトで「喉の渇きをいやす」可能性については考えない。つまり、ヨーグルトをソフトドリンクの競合製品とは見ていないということだ。
このように、特定のニーズからスタートすると思考に制限が加わり、「食べること以外」のニーズに考えが及ばなくなってしまうのだ。
こうして市場カテゴリーを固定的に捉えれば、必然的にセグメンテーション(市場の細分化)と、ポジショニング(自社の事業、製品の差別化要因を特定すること)という戦略に行き着く。
しかし、セグメンテーションを繰り返すと市場は断片化し、飽和状態に陥る。そのため、新製品を投入する余地がなくなってしまう。
またポジショニングで、ある特性ばかりに着目していると、全く新しいコンセプトを切り開く可能性を閉ざしてしまうことになる。
その結果として生まれる新製品・新サービスは、ほとんどが既存の製品の味やサイズ、パッケージングなどを変更しただけで、製品の本質的特性は変わらないものになってしまう。
そこから、新たなカテゴリーや新たな市場が創出されることはないのである。