2004年7月号掲載

コトラーのマーケティング思考法

Original Title :LATERAL MARKETING:New Techniques for Finding Breakthrough Ideas

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著者紹介

概要

創造的思考に関する世界的権威エドワード・デボノ博士は、アイデアを創出するには水平的に思考するのがよいと説いている。この水平思考を活用して、新商品を生み出す「ラテラル・マーケティング」の枠組みを、マーケティングの大家フィリップ・コトラー教授が解説する。アイデアを生み出すまでの手順が具体的に説明されており、実践的なものに仕上がっている。

要約

市場は飽和状態に陥っている!

 今日、新製品を市場投入しても、そのほとんどが失敗に終わってしまう。新製品の投入は、なぜこれほどまで困難になってしまったのか?

 その原因の1つは、顧客ニーズを満たす製品がほぼ出回っている現在のような状況では、従来のマーケティング戦略が有効に機能しなくなってきているからである。

 従来のマーケティングは、製品やサービスが満たすべきニーズを特定し、潜在市場を定義することから始まった。

 市場の定義には、自社の競争領域が明確になるというメリットがある。だが、市場を定義すると、対象が自社製品でニーズを満たせる顧客や状況に限定され、それ以外の市場が排除されてしまう。

 例えば、通常我々はヨーグルトを、「空腹を満たす」製品と捉えている。そのため、ヨーグルトで「喉の渇きをいやす」可能性については考えない。つまり、ヨーグルトをソフトドリンクの競合製品とは見ていないということだ。

 このように、特定のニーズからスタートすると思考に制限が加わり、「食べること以外」のニーズに考えが及ばなくなってしまうのだ。

 こうして市場カテゴリーを固定的に捉えれば、必然的にセグメンテーション(市場の細分化)と、ポジショニング(自社の事業、製品の差別化要因を特定すること)という戦略に行き着く。

 しかし、セグメンテーションを繰り返すと市場は断片化し、飽和状態に陥る。そのため、新製品を投入する余地がなくなってしまう。

 その結果として生まれる新製品・新サービスは、ほとんどが既存の製品の味やサイズ、パッケージングなどを変更しただけで、製品の本質的特性は変わらないものになってしまう。

 そこから、新たなカテゴリーや新たな市場が創出されることはないのである。

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