2005年5月号掲載

価格戦略を知る者が「利益」を制す

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概要

「価格のつけ方」「適正価格とは?」「価格戦略」といった、価格に関連する書籍は本当に少ない。そんな中、本書は価格に関する論文を集めた、貴重な1冊といえる。各社の事例と理論によって構成されているが、調査結果の具体的な数値が明記されているものもあり、その意外な事実に驚かされるものもある。自社の価格戦略と対比して読むと面白い。

要約

「新贅沢財」のポテンシャル

 アメリカにおける中流市場の消費者は、質と嗜好の点で高級化しつつある。中流市場(年収5万ドル以上)を構成する4700万世帯はかつてないほど高学歴で、可処分所得も約1万ドルに上る。

 その結果、彼らは、デザインにも品質にも優れた「新贅沢財」と呼ばれる商品には、20〜200%価格が高くても喜んで支払うようになった。

 たとえ必需品でも、このような商品ならば消費者の心をくすぐり、より良い暮らしを熱望する人々の心を煽るのだ。

 企業側は、自動車、家電、エレクトロニクス、衣料品、食品、スポーツ用品、ビールなど、様々な贅沢財や高級サービスを新たに提供している。

 こうした新贅沢財市場の最前線を走る企業は、高い収益性と成長率を達成しつつある。

 例えば、季節の材料を使ったサンドイッチが売り物のベーカリー・カフェ・チェーン、パネラ・ブレッドでは、顧客は6ドル前後のサンドイッチを買い、居心地の良い店内で友人と食事をする。

 2002年第1四半期から第3四半期までの同社の売上は、前年同期比で41%増。これとは対照的に、約3ドルのチキン・サンドを、硬いプラスチックの椅子に座って食べるバーガー・キングの売上は横ばいだった。

 なめらかな舌触りを出すために4回も蒸留している〈ベルベデーレ・ウォッカ〉は1本28ドルで売れる。これは、1本16ドルの〈アブソリュート〉よりも75%割高である。

 昨今の厳しい経済情勢の下にあっても、このような高級志向は衰えていない。新贅沢財の売上は3500億ドルに上り、これは23の消費財カテゴリーの年間売上高1兆8千億ドルの19%に相当する。さらに、このセグメントは年間10〜15%の成長率を示していると考えられる。

 企業がこうした製品やサービスの潜在利益をいち早く手にするには、新贅沢財を好む消費者の声に耳を傾け、これに応えていかなければならない。

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